一周回って、親に感謝してしまった。BBBムービー「毒親〈ドクチン〉」。
※ややネタバレあります。
かなり強烈で観てて苦しくなる映画やったけど、
観る意義は大きかったと思う。
日本以上に苛烈な韓国の受験戦争も前提としてあるのだろうが、
韓国でも、こういう親の存在が問題になってるんやな。
「モンスターペアレント」という言葉も、よく聞くが、
これは、子どもを大切にするあまり、
学校や、周辺の外の社会に対して
攻撃的になる親のことを示す言葉のイメージかな?
この「毒親」は、その攻撃性が
子ども自身に向かった場合を言うのかもしれない。
まあ、言葉の厳密な区別は必要ないのかもしれないけど。
子どものことを全てわかっている。
子どものことを誰よりも愛してる。
子どもも、そのことをわかっていて、喜んでいる。
それは、すべて、場合によっては、親の思い込みなのかもしれない。
それが極端に走ると、子どもを自分の所有物のように考えてしまう。
子どもも、一人の人間として、
赤の他人と同じように、
人間と人間としての関係を一から構築して行かなければ、
ならないのだろう。
それが対等ということなのかもしれないな。
映画の中で、突き刺さるセリフがいくつかあった。
ひとつは、予告編にも出ているセリフ。
「信じる心は傲慢と偏見をもたらす
与えられた愛を相手も愛として受け止める
そう信じる傲慢さ
愛された人は、必ず幸せだと信じる偏見」。
惜しみなく愛すれば、子どもは幸せなはず。
親が自然に抱いてしまう、
この感情に落とし穴があるのかもしれない。
それを受け入れられない個性の子どももいるのかもしれない。
この映画で言うと、母親の愛は、
その子ども個人に向けられたものではなく、
自分の所有物としての子どもに向けられたもの、
言ってみれば、自己愛の拡大なのかもしれない。
それは、個性に関係なく、
子どもには、厄介なもんかもしれんなあ。
そして、子どもの抱く気持ち、
「お母さんを殺したくなかった。
だから、自分を殺すしかなかった。」
なんて、悲しい愛情なんやろう。
子どもは、子どもで親を愛している。
だけど、このままだと、
いつか親を殺してしまうかもしれない。
愛してる親を。
そんなことになる前に。
どうしたら、この関係を、少しでも和らげることができただろう。
たぶん、二人きりの世界ではできないことだったのだろう。
けど、お母さんが、「子どもには愛されてて、
そのことで子どもは幸せを感じている」
ということに気づかないうちは、
決して、その関係に第三者が入っていくことはできなかったのだろう。
娘の決断が最善とは思いたくないが、
その結論しか出せなかった娘の気持ちはすごくわかる。
一番彼女のことを分かっていたのは、
親が「付き合いをやめろ」と言ってた、
タレント志望の女の子、というのが、
リアルで、よくできたストーリーやな、と思った。
ワシは子どもがいないので、
親との関係を思い出してみた。
ワシの親は二人とも学校の先生だった。
学校で、どんなことを教えていたのかは知らないが、
それほど「勉強しろ」と言われた記憶はない。
その代わりに思い出すのは、「考えろ」と言われた記憶。
けど、その時も「こう考えろ」とは言われなかった気がする。
基本的には「自分で考えろ」と言うことだったのか。
結論が自分で出せない時に相談すると、
「お父さんは、こう思う」と付け加えて、
ワシの進むべき方向を指し示してくれた記憶がある。
今更ながら、自分の考えや愛情を押し付ける親でなくて良かった!
と、心から思う。