映画「嘉手苅林昌 唄と語り」。
「嘉手苅さん、生まれたのはどこですか?」
「四畳半じゃなかったかねえ。」ニヤッと笑う。
いきなり林昌さんらしい冗談。
嘉手苅林昌さんの「唄と語り」を見た。
この人の歌はなんでこんなに「ある」んだろう。
生まれた瞬間に消えて行くのが音楽の宿命なのに、
時間の流れに竿をさすように、流されることなく、
そこに「ある」。
大城美佐子さんの前で歌う「戦友」の、
おだやかさに込められた怒りと悲しみ。
鈴木常吉さんがいつか言ってたが、歌は声が全てだ、
というのは、この人を見てると分かる気がする。
言葉の意味やメロディを超えてやってくる圧倒的な声の存在感。
インタビューのとき見せる口の横で笑う表情、
今まで見たことのない可愛らしさだ。
圧巻は夜中の牧志公設市場の前の即席ステージで、
大城さんと息子の林次さんと演奏するところだ。
直立して口と手以外は全然動いてないように見えるのに、
確実に空気を人を熱くかきまぜていく。
それにしても林次さん、若い!バイオリンもいいなあ。
今どこにいるんだろ。
林次さんの声、聴きたいなあ。
ちょっと高嶺監督の自己主張が強すぎる気もするが、
今まで知らなかった面がいろいろ見れた嬉しい映画だった。
最後にビックリしたのは、スチールが桑本正士さんだったことだ。
桑本さん、ホンマにええ写真撮るなあ。