田渕徹くん、詩のワークショップ「Word Watching Online」に参加してみた。

先日、シンガーソングライターの田渕徹くんの詩のワークショップ
「Word Watching Online」に参加してみました。
冷やかしではなく、けっこう本気でです。

以前、友達に歌詞を頼まれたんですが
「言葉のプロ」を標榜してるくせに、
どうも言葉がリズムに乗りづらく、
ものすごく苦労しました。時間もかかりました。
なのに、いまだに仕上がりに満足できてません。
ワシの好きな作詞者の一人、田渕徹くんが、
詩のワークショップをやってる、と聞き、
その秘密にちょっとでも迫ることができれば、
自分の言葉の世界が少しでも広がれば、
と本気で思って、申し込みました。

けど、そこは長年の付き合い、なんかお互い照れて、
うまくできないんやないかなあ、と危惧してました。
と、そこに「田渕商会」経由で、
田渕くんのこのワークショップに対する気持ちが送られてきました。

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「Word Watching Onlineについての”そもそも”」です。

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そもそも僕は詩なんて書いたこともなかった
そんなに詩という表現に興味もなかった
そもそも僕はシンガーソングライターであって詩人ではない
それでも僕は自分にしかできない仕事があるならと
そういえば僕の言葉を好きだと言ってくれる人がいたことを思い出して
それが何かの間違いでワークショップをやるハメになって
そのままワケもわからずコトは進んでいって
そんないい加減な始まりでも興味をもってくれる人がいて
そこに参加してくれた人はとても真剣に言葉と向き合っていて
そして素敵な言葉や詩を僕に見せてくれた

そもそも僕が教えることなんて何もなくて
そもそもその人が自分と向き合って、自分の言葉を見つける様子を
そっと見てるだけの僕は講師でなくたたの同志だから
そんなワークショップと呼べるかわからないものに値段をつけれなくて
それでも暮らしはあるし、お金はいると悩んでいたら
そんなとき参加した人の何とも言えない充実感を間近でみることができて
そしたらもう値段や価値をつけることが馬鹿らしく思えて
そもそもそんなに考え事には向いてないなと思い出して
そんならもうなんだっていいなら間口は広い方がいいやって
そしたらすこしでも分かり易い内容と価格でやりますって
そういう回りくどい話でした

そんな感じでどう?
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以上、WWOにまつわる僕の気持ちの動きを「そ」はじまりでつぶやいてみました。

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田渕くん、本気やな。
これは、こっちも照れてなんていられない。
覚悟は決まりました。

ワークショップとは言っても、このご時世、
教室に集まるのではなく、
自宅で、スマホとPCを用意します。
マン・ツー・マンの詩の教室、
3時間くらいかかると言うことなので、
2リットルのペットボトルのさんぴん茶と、
つまみ用のミックスナッツを用意して、
PCの前で30分ほど前から、準備万端、そのときを待ちます。

時間が来ました。
指定されたアプリケーション「インスタグラム」で、
田渕付き添い人※からメッセージが来ます。
ワシ、インスタのメッセージ機能って、ほとんど使ったことなかったので、
テレビ電話みたいなものでやるとばかり思ってましたが、
文章でのやりとり、ときどき音声ファイルを使う、というやり方でした。
良かった!
さすがに顔見ながらだと、照れるもんなあ。
いつも、一緒に飲んでお互いグダグダになってるのに、
マジな顔なんてできるかなあ、と、この後に及んで、
恐れていたことは、気にせず済みました。

※ワークショップ始まると「田渕くん」とは呼びにくいので、
「あなたの言葉の散歩道の付き添い人」という自己紹介に基づき、
「田渕付き添い人」と呼ぶことにします。

やりとりも、ゆっくり言葉周りの遊びから、気持ちを言葉に向けて行ってくれる。
回り道に見えて、後から考えると無駄のない道筋です。
田渕付き添い人、こんなやり方、どうやって開発したんだろう。
教育プログラムとしても、非常によくできると思います。
お互いが、用意してきた好きな詩を披露し合うコーナーもあるんのですが、
それは、田渕付き添い人が同じ部屋に遊びに来てくれてる感じもあって、
言葉に向かう以前に感じてたハードルが、どんどん無くなっていきます。

いくつかのゲームを経て、十分に温まったところで、
さあ、自分で用意してきたテーマの発表です。

ワシが用意したテーマは、自分にとってすごく大きなもので、
なかなか気持ちのまとめられないものにしてしまいました。

「沖縄」、です。

沖縄に対するワシの思いを表す言葉を探します。
(事前に探しておいたものもあります。)
まとまるか、まとまらないかは考えず、まずは集めます。
エクセルのあちこちに言葉を雑然と置いてみました。
整然と並べるより、無関係だと思ってた言葉と言葉が、
勝手にひっついたり、間から新しい言葉が生まれたりして、面白いです。
メッセージで、田渕付き添い人にも見せます。
「じゃあ、どんなやり方でもいいから、まとめてみてください」と言われます。
ワシはエクセルで考えて、気持ちのブロックを作っていきました。
ブロックとブロックの関係はあまり考えてません。
各々のブロックが、ちょっとフレーズになっていくると
順番は考えず、とりあえず、メッセージで送ります。
田渕付き添い人は、基本黙って見守ってますが、
ときどきヒント的なものを投げてくれたりします。

40分くらいかけて、ようやく必要なブロックが全部揃った気がしました。
それを、順番に並べてみます。
まだまとまったとは言えませんが、
プロットが固まった状態でしょうか。
そこから、さらに剪定作業。
言葉を前にしたり、後ろにしたり、
表現を少し変えてみたり、
繋ぎ方で、言葉尻などは、どんどん変わっていきます。
1時間くらいして、ようやく、まずまず満足できる形になりました。
もうワークショップ始めてからは、3時間以上経ってます。
田渕付き添い人も粘り強い。
とりあえず、今日はこれ以上は無理、と思い、田渕付き添い人に送ります。
うまかろうが、下手だろうが、今のワシの精一杯です。
「歌詞か?」と言われれば、歌詞にはなってないと思います。

けど、なんか、感じたことのないような充実感を味わってました。
田渕付き添い人、最初パーツを見たとき、
「面白いけど、まとまるのかな?」と思ったそうです。
ワシも同じこと思ってましたが、
なんか考えてるうちに、ある一瞬
「あ、これで繋がった!」と思える瞬間がありました。
理屈よりも、気持ちで納得できた気がします。
驚いたのは、最初用意したパーツのすべてを、
捨てることなく、ほぼ使い切ってたことです。

田渕付き添い人と今後の打ち合わせとかして、ワークショップは終わりました。
終わった途端、脱力して、ものすごく腹が減ってることに気がつきました。
いつもとは違う脳みそを使ったので、糖分を、大量消費したのかもしれません。

田渕付き添い人に数日間、時間を頂き、数日後、見直しました。
これは、広告の文章を書くときにワシがやってる手法です。
気持ちが熱くなると「これ!最強!」「ワシ!天才!」とか思ってしまうんですが、
数日経つと、気がつかなかった、穴やほころびや、
美しくない部分が見えてくるものです。
その辺りを直して、タイトルつけて、田渕付き添い人のスタッフに送ります。

何日かして、田渕付き添い人のスタッフから、レイアウトしたものが、
二種類、送られてきました。
ひとつは、ノーマルな文字組、もうひとつは、下揃えの文字組でした。
下揃え?なんじゃそりゃ、と思ったのですが、
何回か、見てると、俄然こっちの方がよく思えてきたので、そちらのみ紹介します。

今読み直すと、また直したくなりますが、直すときっと衝動の「動」の部分の
動きを止めてしまう気がしますので、
これを、2020年7月現在のワシの沖縄への思いとして保存しておきます。

結局、当初の目的であった「言葉を音楽のリズムに乗せるには」
みたいなことができたかどうかは、分かりません。
けど、実は、それ以前の、もっと大切な、
自分の「言葉への向き合い方の根本」を見つめ直したような
充実した感覚は、抱くことができました。

田渕先生、スタッフの皆さま、どうもありがとうございました。

詩のワークショップ、参加希望の方は、こちらから
田渕付き添い人と濃密な時間を過ごして、
自分の言葉への思いを、見つめ直すのも、おもろい体験だと思います。

アマの方はもちろん、プロの方にとっても、
自分の言葉を客観的に見る、いい機会だと思います。
田渕付き添い人に教わるのではなく、手助けしてもらって、
自分の言葉に、改めて迫ってみてください。
少なくとも、ワシには、そういういい機会になりました。

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