特別展「天目―中国黒釉の美」@東洋陶磁美術館。

昨日、一昨日と行こうと思ってたが、突然の雷雨で諦めた
特別展「天目―中国黒釉の美」に行って来た。
(よう考えたら、月曜は休館日だったので、雷雨に少し感謝)

昔、ちょっとかじったから、というわけではないが、
ワシは、なんか陶磁器を見ると、ふわんと、ええ気持ちになる。
気に入ったモノがあると、それにご飯よそったり、酒注いだり、
花活けてたり、お茶飲んだりすること想像して、
ニヘラニヘラしてしまう。
だから、あまり陶磁器の展覧会とかには、人と行きたくない。
家からチャリで10分くらいのところに、
東洋陶磁美術館があるのは、至福と言ってええだろう。

しかも今回は、天目茶碗の展覧会。
黒を基調とした焼き物が特に好きなので、
絶対に行きたかった展覧会だった。

会場入った途端に並ぶ端正な天目茶碗の数々。
あ、そうそう。
最近は東洋陶磁美術館は、よっぽど禁止されてない限り、
写真撮り放題なのも嬉しい。
けど、他のお客さんもいるので、サイレントカメラを起動する。




ほ〜〜〜。ため息が出る。どれも美しい。
ほとんど全てが、中国の宋代の品。
(最後の写真は、東洋陶磁美術館のHPから。
こんなに模様はっきりは撮れへんので。)

ワシは頭の中で国宝に白飯をよそう。
真っ白の中から、ひと口ごとに現れる宝石のような紋様。
最高の贅沢やな。

次の部屋に行く。
え?いつもは、いろいろ展示してる部屋がただ通り過ぎるだけの部屋になってる。
感染予防対策??それにしても、一品、二品展示しときゃええやん。
そして、次の部屋に行くと、そこは韓国陶器の部屋になってた。
あれ??天目茶碗、こんだけ?
天目の中の最高、と言われる曜変天目は展示してないの??
う〜〜ん、仕方ない。

けど、高麗青磁も、李朝の白磁も常設展とは違うのが観られたので、
まあよしとする。
ワシ、韓国の陶器も好きなのだ。
特に、ちょっと歪んだ感じのある白磁が好き。
なんとなく、バーナード・リーチに繋がってる気がする。
よく出てくる魚紋は、沖縄の壺屋焼きとの関連もあるんちゃうかな、
と睨んでいる。
寅紋は、なんかヘタウマっぽくて好き。

最後の黒いのは、これも青磁の一種らしい。
釉薬は青磁のものだが、鉄分を混ぜ込んで、黒くしているらしい。
今回の「天目」に合わせた展示か。
たぶん、初めて観たけど、けっこう好きかも。

その次の部屋は、日本の陶磁器。
う〜〜ん、ほんまに天目は最初の一室だけなのか。

展示品の中には、この美術館で観たことあるやつもあったが、
中国、韓国の品を観た後だと、ちょっと違って見えた。
日本の陶器も時代ごとに並べられてるのだが、
鎌倉、室町頃までは、ええのもあるんだが、
基本的には、中国、韓国の模倣、品によっては、
あまり出来の良くない模倣に見えた。
流れがコロッと変わるのは、桃山時代やと思う。
日本人独自の美意識に目覚めた、というか、
お手本なしに、自分の中の欲求から、作りたいものを作ってる感じがした。
この時代をリードしたのは、茶の湯。
千利休が、日本の美意識に残した足跡って、
とてつもないんちゃうかな、と思った。
利久好みではないのも含めて、答えを自分の中の美意識に求める姿勢は、
利久の影響なのではないか、と思ったのだ。

ちなみに、上のブロックのひとつ目の写真は、
室町の頃だったかな?の信楽の大壺。
まだ前回の朝ドラ「スカーレット 」をひきづってるワシは、
喜美子が信楽で拾ったカケラは、こんなやつだったのかも、
と思って、写真を撮ったのだった。
そんで、最後の写真は、尾形乾山。
ワシは、シンプルなのに、華やかで、洗練されてる
乾山の焼き物が、とても好きなのだ。
もちろん、兄の光琳の圧倒的に美しい絵画や蒔絵も好きだけど。

今回の特別展、最後の展示室は、日本の割と近い時代の人が作った天目茶碗の部屋だった。

ふむふむ、どれも日本人らしい繊細な作品でいいではないか。
と、不器用で、全然繊細なものなど作れなかった、
陶芸教室時代の自分を棚に置いて、
批評家然と感想を持つところ、ワシが嫌いなワシの部分である。
ま、そんなことは、どうでもええか。


中でも特に気に入ったものの解説を見ると、
あ!やっぱり!!
河井寛次郎さんの作品や!!
ワシの大好きな河井寛次郎さん。
こういう作品は、観たことなかったが、
たくさん並ぶ中、「これがええ!」と思ったのが、
河井さんので、なんかすごく嬉しくなった。

もちろん、他にも好きなのがあった。
ワシが、解説まで載っけてるのは、
特に気に入ったものである。

日本コーナー後半に行くと、曜変天目の再現を目指して作った作品が並んでた。

どれも美しいのだが、昨年、奈良国立博物館で観た、
世界中で日本に4つしかない、完品曜変天目のひとつ、
藤田美術館所蔵の、あの茶碗の中に広がる宇宙と比べると、物足りない気はした。
曜変天目の技法は、長らく失われていて、いまだにわからない部分が多いと聞く。
いつか、その辺りの技法が再現されて、
少々お高くても、ワシが買える範囲で売られることになれば、
絶対、その茶碗で、白ごはんを食いたい。
今、研究中の皆さん、よろしくお願いします!!

最後は、常設展のコーナーを通って帰る。
何度も観てる器たちが並ぶ。
「お久しぶり」と言いながら、観て回る。
ひとつだけ、展示替えなのか、今までちゃんと観てなかったのか、
青の発色が気持ちいいほど美しいのがあったので、写真を撮った。

はあ、ええ時間やった。
けど、肝心の天目が少ないのと、曜変天目がないのは、
少し、不満が残るな。
それで、1400円は、ちょっと高い気もする。

特別展「天目―中国黒釉の美」は11月8日(日)まで。
予約などは必要ありません。
たぶん、ワシ、もう一回くらい行くやろなあ。


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