ワシ史上最高の朝食ではなかろうか。

先週、京都に泊まりがけで行ったが、
ひとつやり残したことがあった。
その数日前、KBS京都の番組で見た二条城香雲亭での朝食。
「こりゃいい!」と電話したのだが、満席で行けなかった。
これで引き下がるワシではない。
無職、いや、ほぼ無職のメリットを十二分に活かして、
本日の予約をしたのであった。
しかし、8時20分集合、6時半には起きねばならない。
自信のまるでないワシは、前日の飲みの約束を
当日キャンセルしてまで、今日にかけていたのである。

なんとか、時間に間に合う。
二条城に入るのも、久しぶりやなあ。
細かく、隠し見所をチェックしながら香雲亭に向かう。

やはり二条城は広い!
入ってから歩くこと10分くらい、ようやく目的地が見えて来ました。

こりゃあいい!!
真前に回遊式庭園、回遊式庭園って、
たいていバックは、土塀か、土塀を覆う木で、
その向こうに借景の山って印象あるけど、
ここは、ちょうど、二の丸御殿と本丸御殿の間で、
本丸の堀が、庭の抜けにず〜〜っと見えている。
借景に頼ることなく、自力で背景まで作り上げている。
こんなに奥行きのある回遊式庭園、観たことないのに、
ここで、朝食まで頂けるとは。

今日は、生憎薄曇りではあったが、気温的にはちょうどいい。
室内の襖絵も狩野派っぽい感じでちゃんとしてるし、庭はどんだけ観てても飽きない。
ああ、ワシ、庭好きなんやなあ、と改めて思う。

さて、そのお料理、これもちゃんとしてて、ゆばの老舗、祇園円山公園の「いそべ」さんが
くみあげゆばをふんだんに使って仕上げたスペシャルな朝ごはん「京のゆば粥御膳」だ。
なんかドキドキしてきた。

見た目も鮮やかで、味も素晴らしい。
特に何層にも重なったくみあげゆばの食感が気に入った。
あんまり美味しくて、料理に集中しそうになるのだが、
いやいや、景色も楽しまんともったいないぞ!
傍目には優雅に見えるかもしれないが、
ワシ個人は、貧乏性がゆえの幸せな葛藤の中にいた。
そして、貧乏性が故に、
茶碗蒸し、くみあげゆばの冷やしあんは言うに及ばず、
焚合せのお出汁まで、行儀悪いだろうが、
口ですすってしまった。
ワシの食ったあとの松花堂は、
「これから料理を入れるんか?」ゆーくらい、
何もなかった。

最初の松花堂だけでも十分満足なのに、
次に皿で出てきたのは、ウニのサラダ仕立て、ワサビドレッシング。
うむむむむ。
また料理に集中してしまいそうになる。
せめて、食うまでは、料理を庭側に置いて、一緒に愛でよう。
これがまた絶品ゆば料理。
ウニとお野菜で隠れているが、本体はくみあげゆば。
ああ、ゆばがウニを引き立てる。
そしてワサビの鼻に抜ける辛みがゆばに合うこと。
極楽や。
あ、また庭を見るのを忘れてる。
目を少し庭に戻してから、最後のゆば粥に。

ここでの作戦は、お店の方に教えてもらった。
最初の松花堂に入ってたゆばちりめんを残しておいて、
香味として使うのだ。
一口目は、ゆばちりめんで、そして昆布山椒で、もう一口。
あらら、また極楽や。
ゆば粥自体は、そんなに味ないけど、食感が、もう。

最後の方になって気づいたのが口惜しいのだが、
くみあげゆばの大きめのを、粥と一緒に口に含み、
口をゆば粥でいっぱいにして、
舌をそのゆば粥の海に泳がせる。
フワフワした無重力の中を舌が浮いている感じ。
なんや間違いなく初めての食感。
羊水の中にいる胎児って、こんな感じちゃうか、
思いながら、知らん間に、目を瞑って、
その食感に溺れていた。
もうこのためだけに、もう一度来たいほどの気持ち良さだった。

何度も振り返りながら、香雲亭を後にする。

これに匹敵する朝飯って、なんかあったかなあ。
10数年前、那覇の第一ホテルが移転する前の朝飯も素晴らしかったが、
景色では、こっちの方が、全然素晴らしいもんなあ。
きっとワシ史上最高の朝飯なんやろなあ、と思いつつ、
二条城見学に向かうのであった。

ちなみにこの香雲亭での朝飯は完全予約制で、今月末まで。
ごはん代に二条城への入場料が必要です。
朝飯食うだけなら、庭園だけの見学チケットでいいのですが、
せっかくなので、二の丸御殿の見学もできるチケットをお勧めします。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


トホホ

前の記事

物忘れ三段階対処法。
町歩き

次の記事

(つづき)二条城見学。