ロックなんて言葉すらなかった1950年代、黒人でゲイを公言する若者から、それは始まった。BBBムービー「リトル・リチャード/アイ・アム・エヴリシング」。
エルヴィスも、ビートルズも、ストーンズも、デビッド・ボウイも
賞賛を惜しまず、彼からの影響を隠すことはなかった。
コスチューム見ると、ジミヘンも、プリンスも、マイケル・ジャクソンも、
リトル・リチャードの教え子だったような気もする。

それほど、ロックの歴史を築いた人たちからも認められてたのに、
権威からはなかなか認められない人だったのだなあ。
それは、黒人であること、1950年代で既にゲイであることを
公言してたことと、無関係ではないのだろう。
本人も、あのパフォーマンスそのままの攻撃的な時代と、
それらすべてを否定して、
キリスト教徒として静かに生きようとする時代繰り返す。
よくはわからないけど、その「揺れ」の間には、
誰も歩んだことのない道を切り開いていくストレスや、
本当にこれでいいのか、という葛藤が常にあったのだろう。
もちろん、社会からの抑圧もあるのだろうけど、
その原因の大きな部分を占めるのは、
父に愛して欲しい気持ちと、
父に反抗する気持ち、
その両極端だけど、同じコインの裏表のような気持ちの、
引っ張り合いから生まれてるような気がした。
有名な曲と、その音源以外、あまり知らない人だったけど、
これほど、差別を受ける立場の人から、
ロックが生まれたことを、改めて知ることができたのは、
ほんまに嬉しいことだった。