七条京阪界隈うろうろ記。

先日の土曜日、なぜか行きたいところが七条京阪周辺にかたまってて、
時間的にも、縫って行けそうだったので、
一日をその周辺で過ごすことに決定。
午前中から、京阪特急ダブルデッカー二階から、
風景を楽しみながら、京都に向かう。

ウロ1「皇室の名宝」展@京都国立博物館。

まずは、ここ。
京都国立博物館の「皇室の名宝展」。
事前予約、めんどくさいのは、めんどくさいんだが、
土曜でも、さほど混んでないのは助かる。
けど、ほんまは「天気いいから、美術館でも行こか」って
気分で選びたいんやけどね。

さすがに皇室のお宝だけあって、教科書で観た蒙古襲来絵詞とかが展示してあって、
「ほほう!」と唸る。
一番有名な竹崎季長が馬に乗って、馬が血まみれになってるシーンは、
会期前半に展示されてたようで、今回は観逃してしまった。少し残念。

ちょっとおもろかったのは、藤原定家の書。
下書きが展示してあって、何度も推敲したあとがあった。
あんな日本史上でも指折りの文学者でも、
言葉を決めるのには、あれほど迷うもんなんやなあ、
当たり前のことやけど、完成品としか思えなかった定家が、
いきなり人間になって、すぐ横に来たみたいな気がした。

それにしても、書にしろ、文学にしろ、
この時代は、言葉の内容と、それを記したものとが、
両方揃って、名作として遺されていったのだが、
これからは、言葉は、データとして、残っていくことになるのかもしれないなあ。
言葉は言葉として、書は書として遺っていくのだろうけど、
その二つは、別のものとして存在して、
こんな感じで、二つ併せた上での芸術として遺っていくのは難しいのかもしれない。
別に、ええとか悪いとかやなく、
こういう展示観てたら、そんなこと考えてた。

絵巻物も、なかなか、おもろかった。
小栗判官のは、もう吹き出しさえあれば、完全に漫画やな。
光琳の絵巻物は初めて観たが、さすが光琳!デザイン性の高さでは、群を抜いてた。

一番人が集まってたのは、やはり若冲の旭日鳳凰図
この色彩の鮮やかさはやはり凄いもんなあ。

けど、やはり密にならんようにか、いつもより作品の展示数が少ないのと、
全時代をカバーしようとするからか、なんとなく薄い印象は拭えなかったなあ。
まあ、こういう展覧会には、ありがちかもしれんけど。

ちょっと時間あったので、敷地内をゆっくり歩く。
休館の三角のとこのレリーフ、よく観たことなかったけど、
じっくり観ると、西洋風なだけじゃなく、
仏教的なんも混じってて、なかなかおもろい。

ウロ2「豊国神社」。

まだ時間はたっぷりある。
そう言えば、国立博物館は、昔の方広寺の境内と被ってて、
方広寺の跡には、今は豊国神社があって、その横には、あの鐘があるはず。
ワシ、観たことあったかなあ、と散歩がてら。
唐破風の立派な門は伏見城からの移築で国宝らしい。
中では、なんか行事やってた。
このご時世で京都も観光客ガタヘリだが、
紅葉のこの季節だけは別のようで、わりと人が多いようなのだが、
ここは観光コースから外れてるようで、のんびりしたもん。
この行事を観てる人もワシの他に数人。

では、あの鐘を観ておきましょうか。
当時は、ものすごい境内を誇ったらしいが、
今は豊国神社のおまけ程度に小さくなってしまっている。

けど、そこにある鐘は、ワシが今まで見た中でも一番でかいくらいの大きさ。
大坂の陣の直接的な引き金になったと言われる「国家安康 君臣豊楽」の鐘である。

このバカでかい鐘が江戸時代中は、雨ざらしになってたらしい。
権力、ゆーのは、残酷なもんやなあ。

七条通りに戻るのに、同じ道通ってもおもろないので、耳塚経由で行く。
これは、文禄慶長の役で朝鮮に出兵したとき、倒した敵方の兵士の耳を供養するもの。
当時、戦いにおいて武士は、自分の手柄を首級を取って報告したが、
さすがに朝鮮から首級を運ぶのは大変だったので、耳を切って塩漬けにして、
京都まで運んだらしい。

ワシは、子どもの頃、このあたりに職場のあったおかんに連れてこられて、
その話聞いてから、ものすごく恐ろしくて、ずっと通らなかったので、
たぶん50年ぶりくらいに観たんやと思う。
今は恐ろしさより、悲しさから、やはりあまり観たくない、と思ったが、
秋の空を背景に、その巨大な塚は、美しく聳えていた。
いつの時代であろうと、権力の犠牲になった人々の冥福を祈る気持ちに変わりはない。

方広寺には、奈良の大仏を凌ぐ京の大仏があったと言う。
秀吉、いう人は、大きいもんや金色のもんが、ほんまに好きやったんやなあ。
わかりやすい。

ウロ3「チューバマンショー」。

さて、昼飯を食って午後3時。
次は、ライブである。
ほんまに国立博物館から50メートルくらいのところ、
ファミマの2階の「集酉楽(しゅうゆうらく)」が会場。
今回、初めて観るけど、前から観たかったチューバとユーフォニウムのデュオ。
チューバ星からやって来た(というテイ)らしい。
管楽器好き、低音好きのワシにはたまらん好物ライブである。

ほのぼの低音、ゆるりと低音ハモリ。
ぬるいMCも楽しいなあ。「バルブマシーン」て曲、
ドラマチックでカッコええんやけど、
なんかほのぼのとしたムードがある。
なんとなく低音の栗コーダーカルテットみたいな気がして来た。
2組の共演とか、楽しそうやなー。

二部は、おっ!オソロのチューバマンショーTシャツに着替えて来たぞ!
スリリングな曲。だけど、やっぱりほのぼの。
でも、二人ともすごいなあ。どんな早いフレーズ吹いても、
音は、ひとつひとつクリア。ダマになることなく、コロコロしてる。

そしてゲスト、チューバマンレディ。
ピアノ弾くらしい。もう管楽器ですらないし、マンですらない(笑)
まあ、もともとチューバマンと言いながら、チューバは一人なんだが。

まずはチューバマンレディとチューバマンの二人で。
おお!こんな楽器の組み合わせ、初めて聴くぞ。
曲もおもちゃっぽくて、めっちゃ楽しい。
「ホロホロ」という曲らしい。
ハワイの言葉で散歩という意味と、難波にあった絵本カフェホロホロさんとかけてるらしい。
ワシも大好きだった店、なんか嬉しい。
二曲目はシカゴイメージらしい。あ、分かる気がする!
まあシカゴ、一回しか行ったことないんやけどね。
ちょっと悪い感じで面白い。
チューバが吠えまくったなあ!
猛獣っぽいんだけどらやはり、どこかコミカル。

続いて、ユーフォマンとチューバマンレディのデュオ。
こっちは甘く優しく、ちょいエロな感じで。
ユーフォニウムがこんなメロウな音出すのって、あまり聴いたことないかもなー。
二曲目は打って変わってスウィング感ある曲。
ユーフォマンがテキサスに住んでた頃を思い出して作ったオリジナルらしい。
なんかなんもないとこに沈む夕日を見た後、
ごった返する陽気な夜の町に繰り出したかのような、展開がおもろい。

最後の曲は三人で。テルッキーの作曲で「キッス・トゥ・ユー・オール」。
おー甘くて、ほっこり、ちょっと可愛らしくもある曲やなあ。

アンコールは、観客も手拍子参加、これがまた楽しい。

休みの昼間にピッタリのほっこり楽しいライブでした。

おまけ、会場の酒屋さんで発見。

大吟醸で大便乗。

ウロ4「東福寺夜間拝観」。

さて、チューバマンショー、終わったのが5時半頃。
次の予定は7時からだったのだが、時間があきすぎる。
ダメ元で東福寺まで行くと、入れてもらえた。
東福寺の夜間拝観だ。
毎年のように紅葉観に来てる東福寺だが、夜間拝観は初めて。
馴染みの風景観ながら、行く道からテンション上がり始める。

とりあえず、世に名高い東福寺の紅葉をお楽しみください。

見事は見事なんだけど、思ったほどではない、というのが正直な感想。
まあ、スマホカメラの限界はあるんやろうけど。
残念だったのは、通天橋から西、峡谷の下流を見下ろす紅葉が、一番の見ものだと思うのだが、
予算の問題か、有料区間の設定の問題か、
ライトアップされてたのは、通天橋から上流、東側だった。
特に楓は、上から見下ろした方がきれいな気がするので、下流を観せてほしかったなあ。

個人的には、紅葉よりも、大好きな東福寺の庭の観たことのない夜の景色を観られたことのほうが嬉しかった。

一番好きな北庭の市松模様に光があたって、なんか妖しい美しさが漂う。

小さくて地味な印象の東庭がまったく違う表情で、存在感を際立たせる。

南庭には、ちょうど月が出てて、「ああ幽玄ってこういうことか」と教えてもろた。

西庭は、もうちょっとちゃんと照明してあげてほしかったなあ、と少し思ったけど。

なんだかんだ「値打ちあったなあ」と満足しながら、帰路に着く。
制限時間たっぷり1時間味わった。

けど、まだ7時。
これなら、いっぱい引っ掛けても、アバンギルドでやってるあずみちゃんのラジオの公開放送、
間に合うかもしれんな、
と思いつつ、正木直ちゃんに教えてもらった東福寺駅前の立ち呑み「」に寄る。

ウロ5「立ち呑み へ」。

初めて入った店では、ワシはたいていキズシ(しめ鯖の関西風呼び名)とだし巻きを頼む。
これが美味かったら、他の大抵のものは美味い。
ちょっと冷えて来たので、芋焼酎のお湯割りで頂く。
まずキズシ。
美味い!合格!さすが、直ちゃんの紹介。

なんだ?平たい鉄板でだし巻き作ってるぞ。
これがまた美味い!
音楽もええ。
お客さんも、ちょっと離れたとこしか空いてなかったんで、
酒や料理を渡してくれるし、話しかけてくれる。
今度ゆっくり来たい店やなあ。

マスターと少し話すと、同じ年ということがわかった。
で、いろいろ、その当時のことを話してると、
今度は隣のお客さんご夫婦が沖縄好きということが分かり、
ウルマの酒、暖流をご馳走になってしまった。

ああ、これは、もうアバンギルド、無理。
あずみちゃん、ごめん!と思いながら、
楽しい一日は更けていくのであった。

で、一日歩いて、最後立ち呑みだったため、
翌日は、腰痛がぶり返して、予定をキャンセルして、寝込んでしまうのであった。

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