映画「もしや不愉快な少女」。

シタンダリンタ監督の新作「もしや不愉快な少女」を鑑賞。
なんとYou Tubeで無料公開中です。

3時間を超える長編なので、二回に分けて観ようと思ってたのだが、
惹き込まれてしまい、気がついたら、一気に最後まで観てしまっていた。

不安定な10代後半の揺れる心がテーマになってるのだが、
繊細な感情表現が、丁寧にひとつひとつ積み重ねられてるのは、
10代の監督とは思えない巧みさだと思う。

何度も、自分が中学生の時、高校生の時、
どんなことを感じていたか、思い出そうとしたが、
ディティールまでは思い出せない。
こんな風に、その時感じていたことを、しっかり形に残せるのは羨ましいなあ。
監督には、ずっと、そのときにしか残せない、
そのときのシタンダリンタの気持ちを形にしていってほしいと思う。

構成として、前半は現在と過去が行き来するのだが、
それがすごく自然で、違和感が少しもなかった。
これは、リンタ監督の成長の証のような気がするなあ。

ちょっと10代後半にしては、登場人物の言葉や比喩が巧み過ぎる気がするのだが、
これは、最近の若い子たちのボキャブラリーの豊富さってことなんやろうか。
ワシが、この年齢やった頃は、とてもこんな上手な表現できんかった。
ワシの考え過ぎならいいのだが。
きっとリンタ監督は、同じ年代の人よりも、
言語感覚が優れ過ぎてると思うので、
その感覚をフルに発揮して脚本を作ったあと、
それぞれのキャラの等身大の言葉に納めて行く作業が、
これからは必要になってくるのかもしれないな。

これは、デビュー作観たときから感じてたんだけど、
音楽の使い方が、とにかく上手い。
お父さんが音楽関係のスタッフで、
お母さんがミュージシャンというDNAを存分に発揮してると思う。
選曲も素晴らしいし、入ってくるタイミングも、
素晴らしく気持ちいい。
ここは、まったくゆるめることなく、
自分の考えられる限りの最高のものをやっていけばええんやろな、と思った。
エンディングテーマにホロッとさせられてしまった。

ゆるゆると進む前半に比べて、後半はテンポアップして、急展開が始まる。
これは、デビュー作に似てる気がする。
リンタ監督特有のリズム感なんやろな。
最後に用意されてるカタルシスも気持ちいいのだが、
ワシが感心したのは、悪役、と言うか、加害者の描き方だ。
加害者自身も揺れてること、葛藤があることを、
漏らさず描いている。
ただの勧善懲悪にはなってない。
これはリンタ監督の見る目の公平さであり、優しさでもあると思う。

次回作も楽しみなシタンダリンタ監督やなあ。
あ、次回作の前に、劇場公開決まってたのに、
今回の騒動で、公開が延び延びになってる桜川春子ちゃん主演の映画、
早く観たいなあ!

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