写真集「高田渡の視線の先に」。

よくできたタイトルやなあ。
高田渡さんが写ってる写真集ではない。
渡さんが何を見たのか、何に心動かされたのか、何を残したいと思ったのか。
それが詰まりに詰まった写真集である。

先日、渡さんの十七回忌に、渡さんが撮った1970年代の写真をまとめた
写真集が発売された。
文章は息子の漣さんが書かれている。
うかつにも、この発売を見逃していたワシは、
中学の同級生、そして会社員時代の後輩のSNSへの書き込みで
この写真集の発売を知った。
奇しくも、同級生も後輩も「佐藤」姓、二人の佐藤くん、ありがとう!

写真として技術が物凄い、というわけではないと思う。
だけど、一枚一枚に意思を感じる写真が溢れている。
渡さんの感じたこと、「今だ!」と思った瞬間、が形として残っている。
「ああ、これを残したいと思ったんか」というものが、
自分の中にも共通してある時の喜びも大きい。
高田渡という人を通してしか見えない世界が、
没後16年も経って、まとめて観られる喜びは、でかい。

70年代にしかなかった空気を感じられるのも、嬉しい。
京都の写真では、鴨川にせり出す京阪の駅が観られたのも嬉しかった。
ああ、ワシが大好きだったあの風景を渡さんも観てたんやなあ。
渡さんの写真はモノクロだし、桜は写ってないのだが、
桜咲き誇る川べりを行く京阪電車を思い出して、うっとりしてしまった。

復帰間もない沖縄は、その埃っぽい空気までも写真から感じた。
井の頭公園かな?将棋してるおっさんを写した写真、
ワシもソウルと天王寺で、将棋するおっさん撮ったなあ。
将棋のルールも、もう忘れてるのに。

今井忍さんや渡辺勝さん、リツさん、中川五郎さんなど、
ワシがライブを観に行く方たちの若かりし頃の写真が掲載されてるのも嬉しい。
ふっくらとした福岡風太さんの写真にはビックリした。

風太さんと言えば、大阪の春一番ライブのコーナーもあった。
70年代の春一と言えば、渡さんはじめとして、物凄いメンバーが出演してる。
その春一は、昨年、最後を迎える予定だったが、この騒動で、中止になり、
今年も、開催されないままになっている。
歴史を作った伝統あるライブ、
フェスという言葉がまだなかった時代から続く、
この祝祭が、尻切れトンボのように終わっては、いけない。
この写真集は、今回これを出版するにあたった漣さんをはじめとする
関係者からの、もあるだろうが、
高田渡、その人から、春一へのエールでもあるような気がした。

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