「写真家ドアノー/音楽/パリ」@美術館「えき」&映画「パリが愛した写真家ロベール・ドアノー<永遠の3秒>」。
正直言って、どちらから行くか迷ってた。
ロベール・ドアノーの展覧会に合わせて、ドキュメンタリー映画も上映している。
迷った挙句、時間の都合を優先して映画から行ったのだが、
結果正解だった。
ワシはロベール・ドアノー、あまりにも有名なこの写真くらいしか知らない。
なので、映画で人となりを知ってから、展覧会に行くことで、
肝心の写真をより深く味わえた気がする。
まずは、映画「パリが愛した写真家/ロベール・ドアノー<永遠の3秒>」。
孫娘が監督したこの映画は、写真家としてのドアノー、
家族としてのドアノー、両面から描いてるので、
ドアノーの人物像が立体的に観えてくる気がする。
その人物像とは、簡単に言ってしまうと、
どんなに有名になっても、驕らず、
だけど常に楽しみながら、
被写体への愛情を持って、仕事をしていて、
家族にも、同じように限りない愛情を注いでいる
かわいいおじさん、って感じだった。
このキスの写真からはおしゃれなパリしか感じなかったのだが、
映画を通して観ると、
「おしゃれ」ってのは、結果的にそう観えるだけで、
この人が撮ろうとしてたのは、もっと人間臭いものだったんやろうなあ、
って気がした。
そう思いながら、場所を変えて、京都駅の美術館「えき」で、
「写真家ドアノー/音楽/パリ」を鑑賞。
こちらは、ドアノーの膨大な写真の中から、
ドアノーが愛してやまなかった音楽のものを中心に集めた展覧会だった。
この人の音楽人脈はほんますごい!
パリなので、シャンソンはもちろん、ジャズ、ロマ音楽、オペラ、
すべての音楽に垣根なく飛び込んでいる。
そして、その人物の持つ、素の表情を、
演奏家として、と言うより人間として溢れ出す表情を切り取っている。
そして素晴らしいのは、その人物がパリという街に、溶け込んでいること。
背景を含めて、その人物の人間性が捉えられてる気がする。
そして、その視線にはシニカルなものは、全く感じない。
ひとことで言ってしまえば「愛」なんやろうな。
ワシは学生のとき、一度だけパリに行ったが、
なんだか街の人を冷たく感じて、イヤな印象しかないのだが、
それは、ワシが人間として未熟やったってことかもしれんなあ、
と、写真観ながら思ってしまった。
それくらい、ドアノーの目を通して見るパリの風景と
そこにいる人々は、優しさに溢れていた。
中には、戦後の子供たちの、貧しい風景もあるのだが、
それすら、ドアノーの優しい視線で、温かい風景に観えてしまったのが、驚きだった。
何枚か気に入った写真が絵葉書になってたので、買って来た。
真ん中のジャック・プレヴェールは詩人で「枯葉」の作者、
映画「天井桟敷の人々」のシナリオもこの人らしい。
パリの路地裏まで熟知してて、ドアノーと意気投合して連れ回したらしいので、
写真、いっぱいあったのだが、ほぼすべての写真でタバコ咥えてた。
アコーディオンを弾く女性もよく出て来たが、この無表情が印象的でハガキ買ってしまった。
チェロに傘をさすのは、モーリス・バケ。
この人もドアノーと意気投合したらしいが、茶目っ気のある人で、
ドアノーと、小粋でおもろい写真、いっぱい撮ってはる。
緒形拳さんの写真は展示はされてなかったと思うのだが、
絵葉書にあって、びっくりしたので、買ってしまった。
あと、一枚、ワシの好きなバンド、レ・ネグレス・ヴェルトの写真もあって、
それがすげ〜よかったんやけどな〜。
絵葉書なってなくて、残念!
検索したら、出て来た。
やっぱ、ええなあ!
とにかく、幸せと優しさに包み込まれるような
映画と写真展でした。
映画は京都シネマで11月4日(木)まで。
展覧会は、美術館「えき」で、12月22日(水)まで。
ぜひ、映画を先に観てください。
あ、でも展覧会、先行った人の感想も聴いてみたいかも。