老いと死の戦い。若い人にこそ。映画「PLAN75」。

とても静かな映画だったが、ハラハラドキドキしっぱなしだった。
75歳以上に死を選ぶ権利が与えられるという映画「PLAN75」。

老いと死、どちらを選ぶかの戦いに思えた。
それに金が絡む。
となると、行政は、多少手間がかかっても、金換算で益があるなら、
死を推し進めるのかもしれない。
それを繋ぎ止めるのは、情しかないのだろうか。
孤独な老人が増え、情があっても、個人個人に届きにくい、世の中、
届く前に死を選んでしまいかねない人は、ますます増えるだろう。

淡々と静かに、説明的な絵を極力排除した展開。
なのに、ストーリーは、しっかり伝わってくる。
上手いなあ、と感心。

倍賞千恵子さん、演技はもちろん素晴らしいだが、
お顔の皺、一本一本の説得力が、すごかった。
その倍賞さんと接点はあるのだが、
ほぼ並行して進行する磯村勇斗さんの演技も、
抑制の効いた演技で、素晴らしかった。

わざとだとは思うのだが、登場人物の気持ちや展開に、
映画的な積み残しがたくさんあるのは、
映画だけで解決するような問題ではない、
解決させてしまうと、映画全体が嘘っぽくなってしまうからだろう。

還暦を超えたワシにも、全然他人事ではない話だし、
生きてる限り、すべての人に関係ある話だと思う。
映画終わって明るくなった時、周りにいる人たちを見渡すと、
ほとんどが対象年齢の人たちとお見受けした。
ワシらの時代には、まだそこまでのことにはならん気がするが、
あと50年後には、ほんまにこんな世の中がやってくるかもしれない。
若い人にこそ、自分の問題として観てほしい映画やなあ、と思った。

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