映画「ガザ 素顔の日常」。

世界で一番危険な場所とも言われるガザ地区。
そこに住む人々の日常を描いたドキュメンタリー映画「ガザ 素顔の日常」。
特にストーリーはない。
ガザに住む老若男女の毎日を、パッチワークのように切り取りながら描いていく。

正直言って、ガザの人々の暮らしについて、考えたことも、想像したこともなかった。
ガザの人は、元来陽気なのかもしれない。
イスラム地区にしては、女性も自由な服装でヒジャブやニカブもほとんど観なかった気がする。
子どもたちは元気よく走り回り、海はサーファーで溢れ、
タクシー運転手はお客との世間話を楽しみ、若者はラップで踊りまくる。

だけど、そこにはやはりどうしようもない現実もある。
イスラエルとエジプトに閉じ込められた天井のない監獄とさえ言われる。
食糧も、電力も不足しがちで、貧困問題は解決の糸口すら見当たらない。
そして、そんな日常をぶった斬るような空爆。

ここに生まれていたら、何を希望にして生きればいいのか、
想像ができなかった。
日常を楽しそうに過ごすこの国の人たちは、
「いつ、その日常が途切れるかもしれない」という思いと
背中合わせに生きているのだ。
だからこそ、楽しめる時は、思いっきり楽しむのかもしれない。

イデオロギーとか、パレスチナよりの理屈とかを一切挟まず、
ひたすら、市民の生活で、ガザの現状を語ってるからこそ、
この映画の説得力はすごい。

彼らに何の罪があるというのだろう。
どうすれば、望む世界に生きられるのだろう。
暴力を肯定するわけではないが、
暴力に走るしかない、と思ってしまう心情は、十分理解できてしまった。

ぬるま湯のような自己責任論なんて、持ち込む隙間のないほど、
自分では、どうしようもない世界。
本気で、世界が、この問題に取り組まなくてはいけないのではないか、と思った。

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