葛藤を抱えた人が、自分以外の葛藤を知る時、風景は少し広がる。映画「幻の蛍」。

※ややネタバレあり。

こじんまりとした、だけど気持ちのいいもんが残る映画だった。「幻の蛍」。

離れて暮らす姉と妹。
姉は、しっかりしてて我儘を言わない分、自分で溜め込む。
妹は、伸び伸びしてて、末っ子な分、ちょっと甘えたでわがまま。
だけど、やっぱり繊細で、姉とは違う方法で人に気を遣って、溜め込んでいる。

人は、葛藤を抱えているのは自分だけではない、と知ったとき、
初めて、人の痛みがわかり、自分の痛みとも向き合えるのかもしれない。
奔放に見えた妹の傷つきやすい部分に触れた時、
姉には、少し優しさが芽生えた気がした。

姉妹だけでなく、お父さん、お母さんも含め、
登場人物の心を丁寧に描いた映画だなあ、と思った。
どこにでもある、誰にでもある、小さな葛藤。
それを乗り越えたところで、人生がすべてうまくいくわけではない。
だけど、昨日より少し風景が広がって見える。
そんなストーリーをきめ細かく見せて頂いて、
なんかすごくええ気持ちになれた。

音楽が良かった。
中山うりさんの主題歌も、
映画の中のブラスを中心にした音楽も、
登場人物の気持ちにピタッとはまってる気がした。

最後、「おばあちゃんに挨拶して帰れよ」とはちょっと思ったけど、
その分、点数引いても、ええ映画やったと思う。

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