映画「3つの鍵」。

ナンニ・モレッティの新作「3つの鍵」。
どこにでもいそうな、だけどみんな少しずつ、
どこか病んでるような3つの家族の物語。

人は同じではない。
家族でも、少しずつ違っている。
当たり前のことだ。
だからと言って、わかりあえない訳ではない。

最初は、ほんの少しの差だったのかもしれない。
ちょっとしたことで、心が歪んでしまっただけなのかもしれない。
だけど、時間が、その違いを、少しずつ広げてゆく。
気がついたときには、もうお互いが見えないくらい遠い場所に離れてしまう。

だけど、その違いを狭めていくのも、やっぱり時間なのだ。
それと「家族」という集団に働く引力みたいなもの。

その過程を、丹念に、丁寧に描いた映画だった。
ストーリーというより、
人の気持ちが、ゆっくりゆっくり動く様子を、
かたわらで見つめているような時間だった。
ハッピーエンドと言っていいかどうかわからない。
それまでのすれ違いや、気持ちのぶつかりを、
全部埋めることはできない気もする。
けど、小さな希望の灯りが燈るような気のする終わり方だった。

ある意味、小津安二郎さんを思い起こさせる映画でもあった。

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