京都、早春の芸術巡り。「黒田辰秋展」「檀王法林寺と沖縄」「京都絞り工芸館」「河井寛次郎とその系譜1」。

あったかくなって来たので、金曜は、京都で行きたかった美術館など、
まとめて行って来ました。
温かくなった分、花粉症が出始めたので、念のため、
ステロイド系目薬をお守りがわりにポケットに入れて。

第一の目的地のため、阪急乗ると
ミッフィーだらけ。
嬉し恥ずかし。

「黒田辰秋展」@大山崎山荘美術館。

まずは、大山崎の山荘美術館に、
黒田辰秋さんの展覧会を観に。


ここは、天王山の中腹にある庭の広い美術館なので、
山荘内の春の兆しや、高台からの風景も楽しみです。

ここは建物も素晴らしい。
なぜここで、黒田辰秋さんの展覧会が開かれるかと言うと、
ここはアサヒビールの持ち物で、アサヒビールの元社長山本為三郎さんの
コレクションが主な所蔵品になっていて、
山本為三郎さんの私宅の家具やらなんやらを黒田辰秋さんが作ったので、
それが、そのまま美術館の所蔵品になってるらしいです。

黒田辰秋さんは、木工作家として、初めて人間国宝になった方で、
百万遍の老舗喫茶店「進々堂」の調度品や、
祇園の老舗和菓子店「鍵善良房」の大きな棚やくずきりの螺鈿の箱などでも知られてます。

シンプルなのに、奥行きがあって、格調高い作品は、
いくら観てても、飽きません。
この展覧会でも、ワシが初めて観るものだらけで、大満足。
特に、応接用のテーブルと椅子は、全部の角度から観てみたい美しさでした。
けど、あれは、うちには無理。
デカすぎるし、全然似合わない。
個人的に欲しいなあ、思ったのは、照明器具やなあ。

黒田辰秋さん、柳宗悦さんの民藝運動にも縁の深い方で、
河井寛次郎さんとも懇意だったので、
河井さんの作品もいくつかありました。
ほんま眼福。

そして、説明文で、ワシが尊敬してやまない柳宗悦さんが、
一時、京都の吉田神楽坂に住んでたことを知りました。
学生時代、ワシが住んでたとこのすぐ近くや!
もちろん、時代が違うので、それがなんやねん、
なんですが、個人的には、この日一番嬉しい発見でした。

館内は撮影禁止だったので、
外の写真を。

なんか桜っぽい枝ぶりの薄桃色の花が咲いてるので、
「今年初めての桜?」と思って観ると、
アンズウメという札が出てました。
この枝ぶりで梅なんや〜〜。

麓に降りて、離宮八幡宮を覗きます。
大山崎の町は、ここを中心に発展したらしいです。

ここまでは阪急で来たけど、次の目的地にはJRの方が便利なので、
JRの駅に向かい、ここにくるといつも寄る、駅前のタビタビでお昼にしましょう。

このローカル線みたいな鄙びた駅前の風景、好きなんすよね〜。
うちから1時間と離れてないのに、旅に来たみたいな気分になれます。

鳥の声と、草刈りかなんかのモーター音と、
ときどき通る列車の通過音と、
おばちゃんたちの世間話と。
内容は、聞き取れないけど、
こういうところで聞くおばちゃんの世間話は、
のんびり感出て、悪くないです。

そして豆腐ハンバーグ定食、美味しゅうございました。

ここから京都駅までは鈍行しかないので、
のんびり参ります。
この区間は、複々線。
ワシの乗ってる鈍行を特急はるかが追い抜いて行きます。
「そらそやな」と思ってたら、なんと!
一度、鈍行がはるかを抜き返しました!

次の駅で停車中にもちろん、停車しないはるかが抜き返すのですが、
なんかむちゃくちゃ健気に感じました。

京都駅で、乗り換えて、おとんの墓のすぐ近くを墓参りもせず、
親不孝ぶりを発揮しつつ、次の目的地へ。
お彼岸には来ますので、許してください!

檀王法林寺と沖縄@京都産業大学ギャラリー。

壬生寺の近くのこんな場所に京都産業大学の施設あったとは知らんかったです。
付属の高校とかもありました。

檀王法林寺と沖縄」。
これに来たのは、「沖縄」関連だったのと、無料だったこと。
檀王法林寺って、なんか聞いたことない名前やったんで、
行くまで気づきませんでしたが、
これって、三条京阪の真前の「だんのうさん」のことなんか!

ワシ、一回生の時は大学まで実家から通ってました。
その頃は京阪は三条までだったので、
親戚かなんかのツテで、
三条京阪前のこの「だんのうさん」に
チャリを停めさせてもろて、大学通ってたんすよ。
そのだんのうさんが、
むっちゃ琉球と縁がある寺やったなんて!
今考えると、ワシの実家も浄土宗で、だんのうさんも浄土宗、
で、同じ京都、
それでなんか親戚がツテ持ってたんかもです。

だんのうさんの開祖、袋中上人は、
琉球に三年ほど滞在してたらしく、
一説には、琉球に、エイサーのルーツの
念仏踊りを広めた人とも言われ、
「命どぅ宝」の思想を広めた人とも、
言われてるらしいです。

なんて、琉球に縁のある人の寺に、
わしはチャリを停めていたのか!

その頃は沖縄に行ったこともなく、
興味もなかったけど、
これをわしの沖縄ファーストコンタクトと
認定いたします。

展示物は、写真撮影禁止でしたが、
袋中さん、尚寧王にえらく気に入られたらしく、
今、沖縄に行ってもなかなか観られないような、
古くて立派な工芸品、いろいろ並んでました。

こりゃ、工芸品も見返したいし、
だんのうさんと琉球の関係、もっと知りたいから、
パンフレット欲しいな、と思って探すと、
受付においてました。

値段が書いてなかったので、お聞きすると
「ご希望の方にお配りしてます。」
なんと無料!
入場料も無料なのに!
もう、仏さんと袋中上人と、
だんのうさんと、沖縄のお導きとしか、思えませんでした。

リアクション、いろいろありがとうございました!
(20240310記)

次の目的地には市バスで行きます。
目的地近くのバス停は、三条会商店街の入口にありました。

この商店街、そういえば、あまり来たことないな、
と思い、少し歩いてみました。
野菜が安い!
このご時世なのに!
シャッターも少なく、ええ感じの店が並んでるのに、
人混みが天神橋筋商店街ほどでもない。
時間帯にもよるかもやけど。
住みたくなるええ感じの商店街でした。
ただ、飲み屋が見当たらなかったのが、欠点ではあります。

京都絞り工芸館。

次の目的地は、京都絞り工芸館
先日、テレビで観て、あまりの技術の凄さと、
完成するまでの膨大な作業量に驚いて、
是非、一度行かねば!と思ったのでした。

行くと、なんかご近所の顔見知りのおっちゃんとおばちゃんでやってる感じの
えらいのんびりした感じ。
QRコード払いが使えたので、支払おうと思うと、
担当のおっちゃん、どこにカメラがあるのか分からず、
タブレットをグルグル回しながら、2〜3分で、ようやく支払い完了!
途中で「現金で支払います」言おうか思ったんですが、
面白くなって、ずっと見てました。
「カメラ、ここですよ!」と教えるのですが、
タブレット裏返して、カメラの位置確認して、
またひっくり返すと、またどこか分からなくなる、の繰り返し。
めっちゃかわいく思えてしまいました。

やっとできたところで、別のおっちゃんが
「えらいすみませんなあ。絞り染めの職人としての腕は一流なんですが」
ゆーて、出て来ました。
ちょっとお客さんの少ない時間帯だったのか、
この後から出て来たおっちゃんが、
ずっと付きっきりで、ワシに絞り染めのすごい技術の数々、
今、その職人の数が減って、危機に面してること、
若い人たちに絞り染めを教えながら、その若い人たちに
新しい絞り染めの使い方を考えてもらってることなど、
丁寧に教えてくれはりました。
わかりやすいし、ユーモアも挟んでくるんで、めっちゃ楽しい時間でした。
あとでわかったのですが、その人こそ、
ワシが観てたテレビ番組で、絞り染めの説明をしてた人でした。

むちゃくちゃいろいろある絞り染めの技法。
それぞれに職人さんがいて、それぞれ、途方もない時間がかかるようです。
説明のおっちゃん曰く「一番原始的な方法ですわ」。

その技法を、これでもかこれでもか、と組み合わせて作る壮大な作品。
京都の四季。作品によっては、十年かかってるそうです。
こりゃ、全体司るプロデューサーとかディレクターとか必要ですわ。

こんなすごいのを、描くのではなくて、染めて作るとは。
なんぼ説明聞いても、わかったような気がしませんでした。
「描けば楽ですよね」言うと、
「そうなんですわ。それで江戸時代、奢侈禁止令で、禁止された時に、
ほんなら描けばええですやん、で始まったのが友禅染ですわ」と、
教えて頂きました。
ほんまかい!すげえ!!
このおっちゃん、なんでも教えてくれる!めっちゃ話しやすい!

若い人たちのアイディア。
伸び縮みする、絞り染めの技術を利用して、
子どもが大きくなっても着れるドレスとかおもろいもん、いろいろありました。

もうため息しか出ないっす。

商品コーナーにもおもろいもんが。
これは、金沢の金箔や銀箔を使った絞り染め。
確かに金や銀なんやけど、めっちゃ渋い色合い出てました。

これも絞り染めならではの伸び縮みする、おもろいオブジェ。
この技法使った、丸めると、拳より小さくなるのに、
拡げると容積デカそうな、エコバッグが、お手頃価格であったので、
お土産に買わせて頂きました。

またQRコード支払いやったんで、山ほど時間かかるかな、と思ったら、
今度は、比較的若い人がやってくれたので、すぐでした。
さっきのおっちゃんは、今度は説明係、してはりました。
しかも外国人さんの!
あんだけQRコードでもたついてたのに、英語はペラペラでございました!
あなどれんわあ。

さあ、最後の目的地へも市バスで参りましょう。
割とすぐですから。

「河井寬次郎とその系譜 Ⅰ期」@ZENBI。

最後は、一個目の黒田辰秋さんの展覧会と関連ある展覧会です。
一個目の話に出て来た鍵善良房さんの作った美術館ZENBIで、
これまた話に出て来た陶芸家の河井寛次郎さんと、それにつながる人たちの展覧会です。
1期は、寛次郎さんと、その養嗣子、河井博次さんの作品が並びます。
作品数は少ないのですが、
比べて観るのが面白くて、館内を行ったり来たりして過ごさせて頂きました。

もちろん館内には黒田辰秋さんの作品もあります。
祇園の静かな品のいい建物の中で、
ええ作品観る時間は、至福です。

四箇所も、こう言うところ周ると、頭ごちゃごちゃになっては来ますが、
どの展覧会も、行って良かった!と満足する展覧会でした。

少し残念やったのは、特に静かだった美術館二ヶ所で、
おばちゃん二人連れが喋りまくってたことですわ〜。
(もちろん、別の二人組)

展示物についての会話ならまだしも、全然関係ない世間話。

耐えきれず、やんわりと「もう少し静かにお願いします」
ゆーてしまいました。

特に小さい美術館では、静けさも、美術鑑賞の一部だと思います。
喫茶店かどこか、座れて、お茶飲めて、
気兼ねなく喋れるところで好きなだけ喋らはったら、ええのに、
なんでわざわざ、静かな美術館来て、
「どこどこのスーパーが」とか「今度の韓流ドラマが」
みたいな話するんやろか。

ワシ個人としては、この日のランチの時のように、
美術館でなければ、むしろおばちゃんたちの会話は、
好ましい喧騒なんですけどねえ。

ここでゆーても仕方ないでしょうが、
何卒、美術館では、お静かにお願いします!

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