60年前の実話だけど、生き辛さを感じてる人は、今もたくさんいるはず。BBBムービー「蟻の王」。
あ、同名の漫画の映画化ではないですよ。
ワシが生まれた頃、イタリアであった実話の映画化です。
たった60年前に、まだムッソリーニ時代の負の遺産で、
こんなに苦しむ人生を送った人がいたなんて、知りませんでした。
だけど、これは「大変やったねえ」という昔話ではなく、
今も、こういう謂れのない偏見で、
苦しい思いをしている人は、世界中にいる。
そのことを知らすためにも作られた映画ではないか、と思います。
北イタリアの美しい自然の中で、
研究や芸術に没頭する年の離れた男性のカップル、
けど、美しくても田舎ゆえの偏見の強い土地から、
ローマに移り住む二人。
それでも偏見から逃れ得ず、
年上の一人は別件逮捕のような形で囚われの身になり、
一人は、精神病院で、拷問のようん治療を受けさせられる。
イタリア映画らしく、ゆったりとしたテンポで、
淡々と描かれているけど、それだけに、余計に、
事態の深刻さ、偏見の根深さが伝わってくる気がしました。
ワシが気づいてないだけで、
きっと今でも、こういう謂れのない偏見で、
生き辛さを感じてる人は、いっぱいいるんだろうなあ。
一人一人が、そのことに注意深く、接していって、
ワシらの世代では無理でも、
100年後か、200年後か、いつか、
誰もが、外的な要因で生き辛さを感じることなく、
自分の思ったままに生きられる時代が来てほしいもんやなあ、
と心から思いました。
映画ではエンディング、予告編では最初にかかってるんですが、
この映画に「Sleep Walk」は、全然合わないなあ、
思ってしまったんですが、
これは、生き辛さのなくなった理想的な未来の象徴みたいな
意味の曲やったんかなあ。
どんな狙いがあったんやろう。