しゃぼん玉感謝祭2019。

真ん中の椅子に、ちょこんと置かれたアコーディオン。
これは、今日不在のあの人への敬意か、
それ以上の意味があるのか、
それは、後ほど明らかになる。

今日は、ムジカジャポニカで、しゃぼん玉感謝祭。
東京、名古屋、京都と回ってきた祭りの最終日だ。
だけど、今回は、真ん中にいるべき人がいない。
しゃぼん玉レコードの主催、鈴木常吉さんは、
闘病中で今回は、欠席なのだ。
感謝祭として成立するのかどうか、
ちょっと不安な気持ちもありながら、
始まるのを待った。

今回は、他の場所でもそうだったらしいが、まずはAZUMIさんから。
ほんの4日前に渋谷クアトロで観たときとは、
別の人のように、穏やかなギターから始まった。
しゃぼん玉感謝祭のオープニングらしく「しゃぼん玉飛んだ」の
フレーズ入れながらのギターソロ。
穏やかながら、誰かに語りかけるようなギター。
語りかける相手は、鈴木常吉さんか、
春に亡くなった遠藤ミチロウさんか、
つい先日、急逝された栄篤志さんか、
それとも自分自身か。
年齢を重ねると言うのは、
自分も含めて、語りかける人が 増えることかもしれんなあ、
AZUMIさん聴いてると、ふとそう思った。

歌が始まっても、AZUMIさんは語り続ける。
きっと、いろんな人に語りかけつつ、
見詰めているのは、自分自身なのだろう。
自分の中にいる大切な人も含めての自分自身。
切れ目なく、次々と曲が進んで行く。
客の目など、ないかのように。
だけど、観ている客の方が、AZUMIさんの世界に
否応なしに引きずり込まれる迫力の熱演なので、
エンターテイメントとしても、成立してるのだと思う。
AZUMIさん独特の世界、まさにワン&オンリー。
長い長い演奏は「天王寺」で一区切り。
息ができなくなるような、ものすごいオープニングだった。
このライブへの思いがビンビン伝わった。

AZUMIさん自身も、向こうの世界から、
こっちに戻って来たみたいに、
ふと我に帰ったような表情、
少し喋って、また歌に戻る。
今日のAZUMIさんは静かだが、
それに反して、内面は、ものすごく熱い気がする。
囁くような声と、柔らかく流れるギターに
ありったけの熱量が込められている。

エレキに持ち替えて「ダーティーオールドタウン」。
鈴木常吉さんとも、オクノ修さんとも、
もちろんポーグスとも違う、
まさにAZUMIさんの「ダーティーオールドタウン」。
静と動が荒い波のように寄せては返し、
ちょっと怖いくらいだ。
AZUMIさんは音楽やってなければ、
狂気の海にさらわれてしまうのでないか、
ふと、そんな気がした。

立ち上がって「ジャスト・ライク・ア・ボーイ」。
音数は少ないかもしれんけど、
ある意味、ミチロウさんの追悼ライブのときより、
激しいかもしれない。
そして、やった!!ミチロウさんが降りて来ました!(笑)
今日はミチロウさん、沖縄の桜坂劇場に行ってるはずやけど、
ちょっとだけ、こっち戻って来てくれはったんやなあ。
今日のミチロウさんは、ちょっとお茶目でした(笑)

休憩挟んで二部は、良元優作さん。
鈴木常吉さんが作詞して
優作さんが作曲した「マイ・ホーム」から。
常吉さんのことを思い浮かべてるのかな?
いきなり泣かしてくれる。

優作さんも曲の間を開けずに、
インストでこれはポール・サイモンのカバーかな?
そして、そのまま「銀行の鐘」へ。

うわ!イントロのリフ聴いて
「もしかして?」と思ったけど、やっぱり!
「常さんの曲をいろいろやって行こうと思います」ゆーて
「ワーリーブルース」!
優作さんがやるの初めて聴く!
優作さんの隣のアコーディオンに
常吉さんが見えた。
常吉さんの声が聴こえた。

次は「何も考えない」。
スピード感ある、ええ演奏!
かっこええー!

「風につらつら」。曲の前のMC
「なんかMCまでAZUMIさんに似て来た?
引っ張られとるがな」と苦笑い(笑)
おおお!今日は声の伸びが素晴らしい!
ギターもよう鳴ってるわー!

「月と金星」の前MCでも、
AZUMIさんトークがおもろかった。
今日で4日連続ライブやのに、
今日の声はほんまええ!
 
「ペンノレ」は静かなワンコーラス目から、
激しくなってテンポアップするとこが
めっちゃゾクゾクした。
航海の歌らしいけど、
穏やかな内海から、荒々しい外海に出たかのよう。
ひたすら、勇ましい。

さすがツアー最終日、
「まあいいやで日が暮れて」の前で
披露してくれたツアー中のAZUMIさんの
エピソードにも大笑い。
この歌、なんとなく空に向かって
歌ってるようなとこあるんやけど、
それがいつもより遠くまで届いてるような気がした。
入院してる常吉さんにも届いてるのだろう。

曲前に焼酎あおって「今日は飲酒運転で」と言いつつ
「ペプシドライブ」を演奏し始める。
「飲酒運転」は、残念ながらあまり受けず(笑)。
「皆さんご一緒に」「やっぱええわ」「皆さんご一緒に」。
どっちやねん!(笑)
もちろん歌いましたよー!

「緑のタイルのいかしたテーブル」は、
久しぶりやなー。
今日はギターのキレがすごいわ。
スリリングで、かっこえー!

今日は夕方から雨。
で、「雨の降る日は」。
これも久しぶり。
今日のキレのいいギターに合う曲!

ちょっと賑やかな歌が続いたあとでの
「マミー」は染みるなあ。

優作さん、ピアノに座って「ジェラス・ウーマン」。
これをピアノで聴くのも初めてやなー。
今日の声、高音も、めっちゃよー響いてる!
そのまま次の曲へ。あー曲名思い出せん!
外国曲のカバーやと思うんやけど。
「自由って…」て日本語歌詞のやつ。
軽快で気持ちいい仕上がり。

そして、AZUMIさんがステージに上がってきた。
二人でやる一曲目は、なんと鈴木常吉さんの「厄病の神」!
AZUMIさんがエレキ、優作さんがアコースティック。
そして、ボーカルは優作さん。
これが泣かずにいられるか!

とうとう優作さんがアコーディオンを持った。
アコーディオンは鈴木さんの代わりに
置いてあるだけではなかったのだ。
やっぱり常吉さんの「アカヒゲ」!
優作さんのアコーディオン、
噂には聞いてたけど、やっと観られた。
この曲は、二人ともボーカルを。
二人が二人とも、常吉さんへの思い、
叩きつけるように。
常吉さん、こんだけ思ってる人がいますよ!
はよ元気になって下さいよ!
二人の声が合わさったとき、
ワシには、はっきり常吉さんの声が聴こえました。
動画はAZUMIさんと常吉さんが一緒にやってるものを。
4分45秒くらいから「アカヒゲ」です。

「常吉さんの曲、いろいろやる」に偽りなし!
続いて優作さんのボーカルで「水の中の女」。
常吉さんの曲って、 
リフが美しいんやなあ、と
こうやって聴くと、改めて思う。

常吉さんの回復祈願の乾杯をして、
最後はもちろん「石」です!!
これは優作さんリードボーカルで、
サビは二人で。
す、素晴らしい!!
AZUMIさんのエレキが唸り、
優作さんのハーモニカが吠え、
二人のボーカルが、ぶつけ合って溶け合う。
常吉さんに届けとばかり。
ふと振り返って、せい子さんの顔見たとき、
ワシから何かがあふれてしもうた。

アンコールは優作さんの「眼鏡橋」。
AZUMIさんのギターソロが、
切なすぎて、また涙が出そうになる。
優作さんの歌も、切ないけれど、優しくて、
なんだか、突然走り出したいような衝動を感じる。

素晴らしいライブだった。
いなくても、鈴木常吉さんとAZUMIさんと良元優作さんと
三人で作ったライブだった。
三人がいなければ、できないライブだった。
「しゃぼん玉感謝祭」とは、
ワシにとっては、しゃぼん玉レコードから
アルバムを出した三人に感謝するお祭りやなあ、
と思った。
終わると22時半過ぎ。
三時間を超える長丁場だったけど、
一瞬たりとも忘れられない、
忘れたくないライブだった。

終わってから、AZUMIさん優作さんたちと打ち上げ。
AZUMIさんと久しぶりにゆっくり話せたのが嬉しかった。
優作さん、しゃぼん玉感謝祭が無事終わってホッとしたのか、
ピッチ速くて、いろんな話してくれた。
子供時代の話や、今までのしゃぼん玉感謝祭の話や、
今回の二人ツアーのエピソードを、
AZUMIさんと楽しく話しているのを、
ワシは横でニコニコしながら聞いていた。
どうしても、話は鈴木常吉さんのことになる。
ワシの知らない常吉さんのことを、いろいろ知れた。
「常さん、そんなことあったんですね」
って、早く直接言いたいなあ。
でも常吉さん、急がず、ゆっくりしっかり治して、
またあの常吉さんにしかできない音楽を、
痺れるようなライブをやってくださいね!

本当に、本当に、本当に、お待ちしてます!!

しゃぼん玉レコードから、鈴木常吉、AZUMI、良元優作作品、
絶賛発売中です!

ちなみに、ちょっとピンぼけしてもうたが、
この日の晩飯はガパオ風ライスで。
ガパオライスマニアの方、
「風」なので、クレームあきませんよ!
うまいから、ワシ的には文句なしじゃ。

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