映画三昧の8月6日①「作兵衛さんと日本を掘る」

そもそもは昨晩。
「そやそや!作兵衛さん観に行きたかったんや!」と思い出した。
先週くらいから上映始まってるはず。
上映映画館を調べると、十三の第七藝術劇場。
しめしめ!ワシは会員になってるので、
1映画1000円で観られるのだ。

ふと、その日の七藝の他の映画を見ると、、、
おおお!直後に沖縄を舞台にした「ココロ、オドル」あるやん!
おおお!1映画挟んで、そのあとは、
一番館では上映終わってて「早くどこかでやらんかなあ!」思ってた、
「リトルゾンビーズ」やんかいさ!
一日は決まった。

まずは14時過ぎからの本命「作兵衛さんと日本を掘る」や。

公式サイト

これは福岡の友だち、ガチャピンが制作で関わった映画。
日本で初めてユネスコ記憶遺産に登録された
筑豊炭鉱の炭鉱画家、山本作兵衛さんのドキュメンタリー映画だ。

画家と言っても、まったくの我流だし、
上手いか下手かで言うと(ワシが言うのもなんだが)、
下手すぎるくらい、下手である。
評価されることを目的に描いたものですらない。
作兵衛さんは、自分の子や孫に、
無くなってしまった炭鉱のことを伝えようと、
その思いで、2000枚もの絵を残したのだ。

だからその絵には媚びるところがまったくない。
ある意味「地蔵とリビドー」で観た
障がい者のアートに通じるものを感じた。

一番印象に残ったのは、目の強さだ。
どの絵の目も、強い意志と哀しみを湛えているように思えた。
その理由は、映画を観てると明らかになって行く。

炭鉱のない関西に住んでるとわからないのだが、
未だに炭鉱住宅地区の住所だと、陰口を叩かれることがあるくらい、
炭鉱労働者への差別意識というものが、厳然とあるらしい。
「黒いダイヤ」と呼ばれ、日本の高度成長期を支え続けた
彼らに向けられる蔑視の目があったというのだ。
それは、正直、意外だった。

そんな目を向けられながらも、彼らは生きるため、
家族を支えるため、
死の危険と隣り合わせの、あの仕事を黙々とやり続けたのだ。
あの目には、差別意識を断ち切り、家族の生を凝視するため、
他のもの一切を見ないための防具のようなものなのかもしれない。

やがて石炭は国策で見捨てられ、
エネルギーの主役は石油へと移行していく。
筑豊は、どんどん寂れていった。
だけど、実際は何が変わったのだろうか。
作兵衛さんは言う。
「底の方は少しも変わらなかった」。
福島の事例を見るまでもなく、
末端の人々を踏みつけ、格差を広げながら、進んでいく構造は、
今の日本でも、少しも変わらないのかもしれない。
「日本を掘る」のタイトルには、
その気持ちがこもっているのだろう。

こぼれ話をいくつか。
通路には作兵衛さんに宛てた黒田征太郎さんの手紙が展示してあった。
(すみません!4を撮り損なっていました。)
ガチャピンに聞くと、とにかく予算のない仕事だったので、
題字はガチャピンのお母さんが書いたらしい。
グッズの手拭いが良くて、買ったしまった。

地味だけど、たくさんの人に観てもらいたい映画だった。

しかし、映画のリズムがゆったりしてたのと、
最近のワシは暗いとこに行くと、
すぐに眠くなってしまう癖があるのとで、
何度か、落ちかけた。
休憩時間の15分ほどの間にコンビニに行って、
フリスクとコーヒーを買ってこよう。
焦って、エレベーターに乗ると、
後ろから「橋本さん!」とワシを呼ぶ声。
振り向くと…

②につづく。

見返すと、コメント欄にガチャピンの書き込みがあって、
本当に一所懸命、この映画に携わったんやなあ、
というのが伝わってきて嬉しくなりました。
(20230807記)

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