正解かどうかは分からないし、分からなくていいワシ的解釈。BBBムービー「悪は存在しない」。
ずっと「観たい」と思ってたけど、重そうだし、人気あって混んでそうだし、
なかなか行けなかった濱口竜介監督の「悪は存在しない」をようやく観てきた。
また厄介な映画を観てしまったなあ、
というのが、観終わった時の初めの感想だった。
あの終わり方と、タイトル、
どうやって解釈するか、
一人一人に問題が課されたみたいな気分。
ちょっと置き去りにされたような気持ちになって、
しばらく立てなかった。
家に帰ってから、しばらくネットで、いろんな人の意見を読んでみた。
中には「それはないやろ〜〜〜!」って解釈もあって面白かった。
ワシ的には、なんとなく、
「この世に悪なんてものは、そもそも存在してなくて、
それぞれの生命が生きようとしているだけ。
それが他の生命の『生きよう』の障害になるとき、
『悪的なもの』と解釈されるだけ」みたいなことを感じた。
それは、鹿でも人間でも同じことなのだろう。
この土地に住む人間も、
都会に住んでこの土地を開発しようとする人間もまた。
「これは、君の話になるー」というフレーズは、
観てるワシらも、またそうなんだよ、という意味に思えた。
と言う解釈が合ってるのかどうか、分からないし、
この件で、どなたかと議論を戦わせようとも思わない。
ただ、ワシには、そう感じられた、ということだけだ。
もう一度観たら、また違う意見を持つかもしれないし、
その可能性はでかいと思っている。
それだけ、いろんな解釈ができる映画だということだろう。
終始、穏やかなトーンで進む静かな映画だけど、
誘致説明会のシーンの白熱ぶりには驚いた。
一人一人の迫力が、ドラマを超えて、
ドキュメンタリーを観てるような気分になった。
この映画の白眉のシーンやと思う。
石橋英子さんの音楽は「さすが!」と思った。
前に出ず、気配を消しつつ、確実に映画の世界を深めていた。