映画「豚の報い」。

久しぶりに「豚の報い」をDVDで観る。
前回は公開時やから20年くらいぶりかあ。

正直言って、前観た時は、
「何かある」って感じだけど、
その何かが結局よーわからんかった。

今回観て、正解かどうかはわからんが、
「あーそうなんかなあ」と思った。
描いてるのは、ファンタジーに脚色してるとは言え、
ほんまに沖縄の人の日常で起こる出来事、
心の動きようなんやなあ。
ある意味、青い海や青い空の沖縄を強調する映画が
テーマパークの沖縄やとしたら、
これは、その辺の町の沖縄、島の沖縄。

だから事件というほどのことも起こらないが、
登場人物一人一人の心の中では
物語は進行して行く。
だから最後には目には見えないカタルシスみたいなもんがあるんやろうな。

何より見事なんは、映画の中で、
島に行ったときに感じる
あの特有の時間の流れを感じることやと思う。
そう思うと沖縄映画の定番、
真っ青の空、白い波、なんてのを
まったく感じさせない撮り方も、
もしかしたら日頃からあの景色を見て
日に焼けたウチナンチューの目には、
こう見えてるのかも?とか思ってしまった。
まあ、それは穿ち過ぎでも、
典型的な沖縄映画とは一線を画した
映画にする狙いはあったんやろな。

だからかもなあ、当時の評判思い出しても、
ディスカスの評価見ても、
いわゆる沖縄病、沖縄中毒、って、
自称する人ほど、この映画を
クソミソに言ってる。
彼らが思う沖縄は、
この映画のどこにもないからなあ。

だからってわけやないけど、
ワシは、この映画にリアルな沖縄を感じた。

追記、あと大熊亘さんの音楽も、
また素晴らしかった。
そんなにしゃしゃり出てくるわけではないのに、
必要なときは、いつのまにか、そこにいて、
空気をじわーっとかき回す感じで、
作ってる大熊さん、使ってる崔さんの
コメュニケーションの良さと、
それぞれのセンスをむっちゃ感じた。
あと、ラストの、たぶん平安隆さんだと思うんだけど、
ウチナーグチの「満月の手紙」も、
さりげない使われ方が、すごい良かった。
ただでさえ感動的な音楽なんで、
感動的に使われちゃうと、
ゴテゴテしすぎるからなあ。
この辺も崔監督のセンスなんやろな。

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