PATILOMA 波照間古謡集。
波照間にもこんなに豊かな歌が残っていたのだ。
あの天国のように美しいニシ浜を目の裏に浮かべながら、
三線もない、旋律だけの歌を聞く。
悲しみも苦しみも、時には、喜びも、海に溶かすしかない、
南洋の孤島を思う。
もう南には何もないはるか海の彼方に、
神を思い、歌を捧げる幾多の人々を思う。
海は、美しすぎて、悲しい。
吉本ばななのエッセイにも出てくる「波照間の周ちゃん」こと
後冨底周二さんとお母さんのとぅばらーまも収録されている。
あんなに楽しい周ちゃんのライブからは考えられない切ないとぅばらーま。
いや、この悲しみがあるからこそ、周ちゃんのライブは
あんなに楽しいのかもしれない。
歌は、何も隠すことなく、この島の歴史を、人を、すべてをさらけ出す。
はてるま、果てのうるま(珊瑚)、
観光のワシらには天国にしか見えないこの島にも、
積み重ねられた悲しみが堆積しているのだ。
川浪さんんが書き込んでくれたけど、
周ちゃんライブで、
「波照間の歌は悲しいから歌いたくない」と、
言ってたそうです。
周ちゃん、そんな一面があったんですね。
というか、悲しみを抱えていない人間なんていないのかもしれません。
だからこそ、明るく楽しい歌を歌う周ちゃんは、
素晴らしいのでしょうね。
周ちゃんに会いたくなってきました。
この音源をまとめてくれた久保田麻琴さんに感謝。