映画「鬼に訊け」からの、薬師寺。

シュッシュッシュッ、じゃりじゃりじゃり、ザクッ。
木を削る音は道具によって人によって、こんなにも違うものなんや。
しかし、どの音も心地よい。桧の香りが漂ってきそうだ。
宮大工、西岡常一さんのドキュメンタリー映画「鬼に訊け」を観て来た。

鬼とは言うものの、茶目っ気たっぷりのお人柄、弟子にむける愛情、
一度仕事となるとどんな権力者でも間違ったことには異を唱える、
報酬を返納してでも仕事の完遂にこだわる、後継者の育成に努める。

今の日本に大切なのは、こういう技術を伝承することで
魂を伝承していくことではないか、と思った。
この映画がこのタイミングで、できたのは、
何か非常に素晴らしいことなのかもしれない。

余談だが映画の始まる前、ロビーで犬山のふぅさんと会った。
たまたま大阪に出てきて棟梁の映画やってるのを知ったので
「観に行かねば!」と思ったそうだ。
ふぅさんも僕の尊敬するオヤジの一人。
この映画で会うなんて、なんかとても嬉しかった。
ワシを見つけた瞬間、ふぅさん「なんでこんなとこに_?」言わはったけど、
それこそ、まさしくワシのセリフ。
ここは、大阪で、ワシは大阪、ふぅさんは愛知県の犬山に住んでるんだから。

観たあと、居ても立ってもいられなくなった。
幸い今日は梅雨の中休み、幸いモーニングショーしかやってなかったので、
時間はたっぷりある。
棟梁の残した白鳳伽藍を見に薬師寺に出かけた。
何度か来た伽藍だが、柱ひとつひとつのやりカンナの後が
今までよりずっと、いとおしく感じられる。
棟梁を直接知る売店のオッサンと話しこみ、
棟梁らしいユニークだけど、ウソのカケラもない、
ときに涙が滲むようなエピソードをいろいろ伺った。
幸せな時間だ。

そのあと、大修理が終わった唐招提寺に回る。
「天平の甍」は見事に復活していた。
ここの金堂の正面から見ると半分以上が屋根に見えるデザインは
仏教建築では一番好きな建物かもしれない。

写真は拾い。

久しぶりに歴史好き、寺好きの血が沸騰した一日だった。

美味い蕎麦と筍の天ぷらを頂いて帰るとしよう。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


音楽

前の記事

LP「 Into The Wild」。