「消えた琉球競馬」梅崎晴光。

「消えた琉球競馬」読了。

沖縄にも競馬があった。人口比率で言えば、
内地よりもはるかに多くの競馬場があった。

しかも、内地の競馬とは違い、美しさを競う競馬。
「さすが歌舞音曲で外交しようとした国」と思って読み始めたが、
そこには、そんな単純ではない、翻弄される国、琉球の姿があった。

三国時代には兵馬としての需要、
琉球時代には宗主国中国への輸出品、
江戸時代になれば、薩摩、江戸への献上品としての馬、
もちろん、農業の動力としての需要、
それが、明治になり、士族が野に下り、士族時代の誇りのよすがとして、
下った農村の農民も巻き込んで一大ブームに。
そして、終焉もまた沖縄を取り巻く社会情勢だ。
二次大戦の軍馬需要、空襲・地上戦での犠牲。
そしてモータリゼーションがとどめをさす。

競馬記者の作者は昭和初期に活躍した名馬「ヒコーキ」を追いかけ、
物語を進める。
記者らしさの表れか、資料として残そうとしたためか、
各馬場のサイズなどの記述が本文に入りこんでいて、
少し、読みづらいが、その丹念な追跡は、さすが記者、
記者でなければ、モノにできなかった題材かもしれない。
資料的価値は、別に資料編を作るなどの工夫が欲しかった気はするが、
ただ、「美しさを競う変わった競馬」というだけでなく、
「馬」という側面から、沖縄の歴史、民族性を探る、という意味で
読み応えのある本であった。

後日、沖縄で琉球競馬が復活したという話を聞きました。
その動画、貼っておきます。
(20200411記)

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


音楽

次の記事

Deep Purple「Child in Time」。