黄民基「奴らが哭くまえに」。
先日、良元優作さんに案内してもらった猪飼野に興味を持って、
Amazonで「猪飼野」と検索して見つけた本です。
軽い気持ちで読み始めましたが、読むほどに引き込まれました。
2012の暮れから2013三が日はこの本を読んでました。
昭和33〜35年あたりの猪飼野、良元さんが生まれる
20年近く前のことですし、書かれたのも今から20年近く前のことなので、
この本を読みながら、良元さんの少年時代や、今の猪飼野を
思うべきではありませんが、
その頃小学生だった少年達、つまり戦後すぐに生まれた
少年達の凄絶なまでの生き方に衝撃を受けました。
あるものは北に帰り、あるものは自殺し、
あるものは行方をくらまし、あるものはこの町を離れる。
しかし、すべてのものが、この町で生まれ育ったからこその
人生を生きた。人生を生きている。
辛い話ばかりではなく、少年らしいかわいらしい話、
ワクワクする話もあって、
僕には「これが猪飼野のスタンド・バイ・ミーなんだ」と思えました。
中には、キムおじさんを思わせるようなおじいさんも出て来ます。
読み終わったばかりですが、人間関係を頭に入れた上で、
すぐもう一度、読み返してみよう、と思えるような本に
出会えました。
政治的な意味を別にして、読んでほしい本だと思います。