映画「アメリカン・アニマルズ」。

雨がひどいので、予定返上して、家でDVD鑑賞。
映画「アメリカン・アニマルズ」を観た。
あまり期待してなかったんだけど、思った以上に面白くて、引き込まれた。

簡単に言ってしまうと、大学生4人が、大学図書館にある希少本を盗もうとして、
あれこれ失敗して、捕まるという実話をベースにした話なんだけど、
びっくりするのは、懲役終えて刑務所から出てきた4人本人が登場するのだ。
本人だけでなく、その親も、彼らが襲った図書館司書まで出てくる。

かと言って、ドキュメンタリーではなく、基本はストーリー映画なのだが、
要所要所に、本人が出てきて、その時の心境を吐露したりする。

この映画で一つ感じたのは、一度つまずいた人を受け入れるアメリカの社会の懐の深さだ。
強盗犯が出所後に、自分たちをモデルにした映画に出演する、
日本では、考えられないなあ。
4人は、出所後、それぞれ映画にも出てくる自分の得意なところを活かして、
現実社会で生活しているらしい。

そしてこの映画のテーマ。
初めは、事実をベースにした犯罪映画だと思って観てたが、だんだん、
そうではなくて、この映画は、青春映画なんだな、と思えてきた。

4人は、それぞれに家庭の問題もあったりするが、多分中流以上の家庭に育ってる。
大学にも通い、それぞれに得意なこと、夢も持っている。
だけど、あの年齢特有のなにか満たされない思いも持ってる。

「自分を特別な存在と思いたい」「人とは違う自分を信じたい」
だけど今のままでは、平々凡々とした人生が見えてきてしまっている。
そんなときにメンバーの一人、美学生が図書館見学で見た一冊の希少本が、
4人の突破口になってしまったんだろう。

その突破口が、バンド結成なら、彼らはニルバーナになってたのかもしれないし、
政治なら、アメリカ史上最年少大統領になってたかもしれない。
途中で挫折してしまったとしても。

多くの若者が感じる「何者かでありたい欲」が
いびつな形で噴出してしまったのが、この事件で、
そのストーリーに実在の人物が登場することで、
その時期を遥か昔に通り過ぎたワシにも、
すげえリアイリティーのある話として、響いて来た。

実際の犯罪は、計画も実行もズタボロで、
よく四人とも「これで行こう!」と思えたなあ、と感じてしまうのだが、
それこそが、彼らが「何ものかでありたい」という
熱に冒されていた証拠かもしれない。
事実、映画に登場する本人たちは、事件のことを、ある意味、
人ごとのように、夢の中のできごとのように語る。
そこが、また嘘ではない感じがして、ワシは気に入った。

そんで、この映画を彩る音楽が、またなんかワシ好みだった。
実際事件の起きたのが、2004年なので、その時代に合わせた音楽ではないのだが、
もっと古いところから、シーンによく合うええ曲を選んできたてた。
知ってた曲もあるけど、知らん曲もあったので、
Shazamで音楽拾いながら観てた。
気になった曲を順番に紹介すると、

ハーディーガーディーマン/ドノバン(1968年)

ピース・フロッグ/ドアーズ(1970年)

サマー・カムズ・サンデー/ザ・スウィンギン・ブルー・ジーンズ(1966~69)

誰が火によって/レナード・コーエン(1974年)

クルーシファイ・ユア・マインド/ロドリゲス(1970年)

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