映画「書くことの重さ」。

ここ数年で観た映画の中でも、
一番くらいに印象に残っていたのが「海炭市叙景」という
函館を舞台にした短編集だった。

谷村美月さん、竹原ピストルさん、加瀬亮さん、
南果歩さん、小林薫さん、
それぞれの役者が、何か尾を引くワシの好きな
後腐れのある演技をしていた。

しかし、ワシがそれ以上に興味を持ったのは、
この映画の原作者、佐藤泰志さんだった。

函館に育ち、何度も芥川賞の候補になり、
「次世代のホープ」と言われながら、
自ら命を絶ったこの人のことを、
ワシは、この映画を観るまで知らなかったのだ。

映画を見てから、むさぼるように、この人の小説を読んだ。
読めば読むほど、この人の抱えてた虚無の大きさを感じた。
佐藤さんに比べれば、耳あかくらいでしかないが、
その虚無は、ワシの持ってるものと、どこか似ていた。

だから、期待して、佐藤さんの生涯を追った映画、
「書くことの重さ」を観た。

関係者には申し訳ない。

が、こんなガッカリは、久しぶりだ。
wikipediaレベルの佐藤さんの伝記映画だったと思う。

佐藤さんが、なぜ自殺されたか、その真実は、
あちらに行って、ご本人に聞くしか無かろう。
それはわかるが、制作者がどう想像したのか、
何か感じさせてくれなければ、
映画を制作した理由や情熱が、わからない。

同年代(少し上だけど)を代表する小説家で、
ワシが何冊か読ませて頂いた小説家だけに、
映画を観たのに、その人への理解が、
少しも深まらなかったことが、
残念でならない。

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