映画「異端の鳥」。

ずっと観たいと思ってたんやけど、
3時間という上映時間にビビって、行けてなかった映画「異端の鳥」をようやく観てきた。

向かったのは、京都出町座。
出町柳から、高野川、賀茂川を渡る。
気持ちのいい秋の日差しだが、
今から観るのは、退場者続出という噂の暗く重い映画なのだ。

舞台は、二次大戦中の東ヨーロッパ。
ナチスやソビエトの勢力争いの中、
親と別々になった少年に、これでもかこれでもかと続く辛い現実。
目を背けたくなるシーン、悲惨で、やりきれないシーンが、ずっと続くのだが、
不思議と退屈だけはしなかった。
あっと言う間、というほどではないが、
気がつけば、エンドロールが流れていた。

ハーヴェイ・カイテルなど脇を固める出演者も凄いが、
主人公の少年の圧倒的な演技が、目を背ける気持ちすら奪ってしまった。
初めから、言葉少ない少年だったが、
途中から失語症になるので、言葉は、全部合わせても5分に満たないくらいやと思う。
なのに、気持ちがどんどん少年に惹きつけられていく。
凄い演技の説得力。

周りの大人たち(大人たちに影響された子どもたちも含め)の、
醜悪なまでの憎悪が、少年に向けられていく。
その悪意が少年の心を蝕まないわけはない。
生きることだけを目的に、少年自身も、社会全体への憎しみに捕らわれてるかのように、
なんでも平気でやってしまうようになっていく。
そんな状況で、言葉は無力なんやろな、少年は言葉を失う。

とんでもないストーリーだが、オーバーな脚色ではなく、
「この状況なら、こうなってしまうかも」とどこかで納得しながら観てるので、
惹き込まれてしまうんやろな。

ラストは、、、言わないでおきましょう。
観終わったあと、なんかオリのような嫌な気分と、
相反する、清々しい気持ちと両方を抱いておったことだけ、お伝えします。

久しぶりに「凄いなあ」と思った映画でした。
3時間に腰が引けてる人にも、ぜひ観てほしいです。

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