映画「天使の分け前」。

ケン・ローチ監督の「天使の分け前」を観る。
コレクター癖はまったくないので、
コンプリートしようという熱はないが、
ケン・ローチ監督作品は好きでわりあい観てる方だと思う。
イギリスの労働者階級のやり場のな怒り、悲しみをリアルに描き、
ときには「ここで終わる?」と思うくらい、
救いようのない場面で終わったりするのが、好きなのだ。

だが、この映画は全然違う。登場人物はやはり、
イギリスの労働者階級で、救いようのない環境で、
悪さを重ねる人物なのだが、
ストーリー展開も、結末もリアリティというよりは、
ファンタジーに近いくらいで、
トーンも、いつもの暗く陰鬱なものではなく、
コミカルでイギリスっぽいウイットに溢れている。
しかも、まさかのハッピーエンド。

それは楽しくて気持よく見られるのだが、
どこかに「ケン・ローチが??」と言う思いが残る。
他の映画監督の作品なら、迷わず「好きな映画」と思えるのだが。
「もう現実では労働者階級を救えないから、
せめて映画では、ハッピーにしてやろう」とケン・ローチが
思ったのではないか、と想像したが、それはうがち過ぎなのだろうか。

ストーリーでひとつだけ思ったことを書くと、
主人公と、恩人の間柄をもう少し丁寧に描いてほしかった。
主人公が恩人にいつ心を開いたのか、
観てる分には、分からなかった。

けど、映画としては、痛快でチャーミングなイギリスらしいいい映画だと思います。
「フルモンティ」とか「パレードへようこそ」とかが好きな人には
十分楽しめると思います。

あ、映画のモチーフは、タイトルからも分かるように、
スコッチウイスキーなので、
そちら方面が好きな方も、どうぞ!

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