東洋陶磁美術館「黒田泰蔵展」ほか。
今年初、めっちゃ久しぶりに展覧会に行ってきた。
ゆーても、家からチャリで10分程度、
中之島の東洋陶磁美術館。
ワシは、なんか陶磁器観てると、
心がふんわり柔らかくなってくるのだ。
この美術館が家の近くにあるのは、ほんまラッキー。
全然知らんかったけど、今、中之島公園、工事中やねんな。
車、通れなくしてしまうんやろか。
ここ通れなかったら、かなり不便やと思うけどなあ。
まあ、会社員じゃなくなった今は、チャリンコでしか通らないから、
ワシはいいのだが。
まずは、ワシが必ず行く、鼻煙壺コーナー。
この小さい中に込められた意匠が、ほんま楽しい。
まあ、陶磁器だけではないのですが。
ここは基本、キャプションで説明。
嗅ぎたばこを入れておく壺。
最初に観る。
もうあるとこ、覚えてる。
茄子型のセット。
めっちゃええやん!
触ってみたい!
コレクション展は、韓国陶磁器の時代を3つに分けて。
まずは、高麗時代。もちろん青磁が中心。
最後のひとつが、高麗青磁としては初めて観る色味だった。
説明によると、青磁土と白土、赤土をこね合わせて、青磁釉をかけてるらしい。
落ち着いた、大人な色合いやなあ。
なんか現代アートやとゆうても通りそう。
これは掘り出しもんやわ。(もちろん、観るだけですが。)
李氏朝鮮は、白磁が有名だが、その前に粉青という時代があるのだ。
丁度、高麗青磁と李朝白磁の間のような色味。
面白いなあ。
面白い形。
李朝白磁通して、
日本にも通じてる気がする。
使われた跡や、金継ぎとかあって、
それがまたええ味になってます。
いい!
侘び寂びの源流ちゃうかな、と思った。
何度も来てる美術館なので、李朝の白磁は、
観たものが多かった。
前から好きなのも多かったが、
ちょっと時間の関係で、
観たことあるやつは、スッスと通り過ぎる。
けど、ひとつだけ、観逃せないのがあった。
何?この奔放な絵柄。
もう侘び寂び通り越して、ヘタウマやん。
説明では「名品」とあったが、
ワシには、ガロ系にしか思えんかった。
ワシ、やっぱり、観る目、ないんやろなあ。
まあ、なくてええんやけど。
「好き嫌い」で言うと、好き。
そして、本日のお目当て、特別展の「黒田泰蔵展」。
黒田征太郎さんの弟さん、
民藝運動からの流れを組む、現代の日本陶磁器の第一人者だと思う。
いやあ、凄まじかった。
とりあえず、御覧ください。
白、白、白。
色は白しかない。
表面は、釉薬をかけず、轆轤目を活かした、
繊細な筋がいくつもあるが、それすらなかったら、
もう、無音の世界かもしれない。
あれほど躍動感のあれほどる征太郎さんの弟さんが、
これほど、静謐な作品を作る人だとは。
もちろん、泰蔵さんの白磁は、知ってて行ったのだが、
これほど、真っ白の世界に囲まれると、
なんだか言いしれぬ不安が、ふつふつと湧いてしまった。
「ワシは、どこに連れて行かれようとしてるのか」
いくつかあった、アシンメトリーな作品に、少し救われた気がする。
中には、器としての役割すら放棄した、使いようのないものまであった。
なんだか、自分の手から生まれる造型や轆轤目に恍惚としてる作者の姿が浮かんできた。
そこに、器の役割なぞ、介在する余地もない。
ひたすら、自分の手によって産み出された、自分も予想できない美しさに酔い、
それを、そのまま形にしたいという欲求に従う、
他に類を見ない、作家の魂があった。
何の役に立つとか関係なしに、自分が美しいと思うものを純粋に追い続ける。
そういう意味では、アウトサイダーアートに近い気がした。
ある意味、羨ましい生き方である。
しかし、圧倒されて、怖さまで感じてしまったワシには、
隣の柿右衛門コーナーの鮮やかな色味が助けになった。
よう考えられた構成やな。
伊万里焼、もともと好きなのだが、
これは初めて観た。
最後の瓢箪型の急須。
無茶苦茶いい。
これ、欲しい!
思わず帰ってから、検索してみた。
同じく伊万里焼で、これをシンプルにしたようなのがひとつ、
オークションサイトに出てたが、オークションは終わってた。
落札価格、酒器二つ、小皿付きで6,750円。
クソ〜〜〜!そんなに高くない。
1万越したら、諦めついてたのに。
却って口惜しいなあ。
なんとか、ならんもんか。
と、館内放送で、閉館10分前の案内。
今日は、この前に歯医者に行ってたのだが、
思いのほか、時間がかかって、入館したのが、
閉館1時間20分前だった。
急いだつもりだったのだが、けっこうじっくり観てしまったようだ。
常設展を一瞥しながら出口に向かう。
もう何度も観てるものだが、これだけは!ってやつだけには、
少しご挨拶。
絶対外せないのは、この上下の国宝の二点。(他にも国宝はあります。)
上は、元朝の飛青磁。この曲線と青、そして、散らばる鉄斑の配置がたまらない。
そして下は、南宋の油滴天目。世界に何品しかない、天目茶碗だ。
この茶碗がワシの住んでるところから、
直線なら1キロないところにあると思うだけで幸せだ。
他にもいくつかある、眼福器たちに挨拶して、
ホクホクの気分で、帰宅、ほ〜ら、ふんわりした。
陶磁器始めとする工芸品は、ワシにとって、
心の整体師でございます。