山村暮鳥のうた&オクノ修@まほろば。

12月1日水曜は、ワシにとっていろいろ思い出深い京都高野のまほろばへ。
ここは、鈴木常吉さんの生ライブを初めて観た場所で、
癌の手術後、初めて大阪府から抜け出してかりきりんを観た場所で、
マルチーズロックのライブを初めて主催させていただいた場所でもある。
そんな場所で、「山村暮鳥のうた」を観れる日が来るとは。。

ちなみにライブタイトルは、山村暮鳥さんの言葉らしい。
すごいフレーズやなあ。

メンバーは、もうやる前から場に馴染んでる気がする。
ワシの席も砂かぶりのような、特等席でなんか嬉しい。
「山村暮鳥のうた」は山村暮鳥の詩にメロディを付けて演奏する。
メンバーは流動的なようだが、
今回は、いろんなバンドで拝見してる鍵盤の大野慎矢さんと
コントラバスの宮坂洋生さんのコンビ。

柔らかく空気を紡ぐような曲から始まった。
山村暮鳥の詩がベースと言うと、
ノスタルジックな昭和っぽさを想像してしまうが、
大野さんのボーカルとか確かにそういう面もあるけど、
演奏自体は、どこか前衛的なとこもあって、
それらが矛盾なく融合してるのが、面白いところだ。
前衛的って言っても、デジタルというよりはアナログな音で、
きちんと体温がある。
だから山村暮鳥の詩と、馴染むのかもしれない。
コントラバスでもピッチカートって言うのかな?
宮坂さんが指で弾く音が、ボーカルと無関係そうだけど、
やっぱり繋がってて、それがおもろくて、聴き入ってしまった。

「歌う」と言うより、ポツンポツンと言葉を置いていくような
大野さんの歌が、すごい癖になる。
「氣凜」て曲の後半が、むっちゃとんがってて、
フリージャズみたいでカッコよかった。
これは山村暮鳥自身もとんがってていた時期の詩らしい。

山村暮鳥は作風が大きく変化する人で、
次の「そこの梢のてつぺんで一はの鶸がないてゐる」の詩は、
なんか掛け軸に出てき来そうな枯れた風景を思わせた。
その詩を朗々とした曲に乗せてて、
なんか掛け軸抜け出して、大きな風景を描き切った気がして、
ちょいドキドキした。

やっぱりワシ、このグループ、好きやわあ。

山村暮鳥のうた、音源はこちらから。

休憩挟んで、ムッチャクチャ久しぶりのオクノ修さん!
いやあ嬉しいなあ。

「とまらない汽車」。
空気を擦るようなら優しい声、
この世のすべてを体験して、彼岸で響いてるような、
路面電車の中から何も考えず通り過ぎる風景を眺めてるかのような、
そんな音楽。
人には分かりにくい思うけど、
ワシ的にはこういう表現がすごく言い表せてる気がする音楽なのだ。
聴いて頂ければ、なんとなくわかってもらえるかもしれない。

ああオクノ修さんの音楽だ。
ワシにとって絶妙のタイミングで「ダーティーオールドタウン」。
理由ないけど、なんか涙が出そうな気がする。

「夜がそこまで」これも大好きな歌。
「もうこんなに長く一緒にいるのに、まだ足りないよ」
文字にするとベトつきそうな、こんな歌詞が
オクノさんが歌うと全くベトつかない。
優しく、ほっこりとしてて、豊かな時間が流れている。

MCで言ってはったけど、オクノさん、デビュー50年らしい。
すげえなあ。その間、ずっとこの音を磨いてきて、
だから、こんなところまで、到達したんやなあ。

お!高田渡さんの「フィッシングブルース」!
なんか嬉しいなあ。心が穏やかになっていく。
おお!「ホジキンソンさん」。
このアルバム出てから、ライブ一度も行けてないから、
たぶん生では初めて聴く。
CDは、擦り切れるほど聴いた。
CDなんで擦り切れないけど。

なんかオクノさんの音楽は、哀しいとか切ないとか通り越してしまって、
ほんま向こう側に行ってしまった音楽のような気がする。
まあ胸は痛いほど締め付けられてもいるんやけど。

大野さんのリクエストで「電車が出てゆく」。
ワシも好きな歌。大野さんが、この歌好きなことも嬉しいな。

最後は3人で。
うわあ、めっちゃいい!
枯れてるのに、柔らかく優しく、深い。
そこにまほろばの皿洗ったり、揚げ物したりする厨房の音が重なる。
生活の中の音楽。
むちゃくちゃええ時間や。

アンコールはオクノさん一人で「ハートランド」。
こりゃたまらん!
この曲は、ワシがちょいキツイ時に聴く曲。
なんど、この曲に助けられてきたか。
いやいや、最後は観客も大合唱!

ああ!ほんま来てよかった。
つーか、来なあかんライブやった。

終演後、山村暮鳥のうたのお二人ともたっぷり話できたし、
オクノさんの意外とざっくばらんなお人柄も覗けた。
オクノさんのホームみたいな、この店だからだろう。
あと、ザンパノのニーヤンとも、アホな話でけた(笑)

その結果、この日、京都にホテル取ってたワシは終電を気にすることもなく、
撃沈したのであった。

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