その時、やっと母になる娘。映画「母性」。

「土を喰らう十二ヶ月」観た後で、次の用事まで時間があって、
ちょうどいい頃合いで始まる映画があったので、
続けてみることにした。
映画「母性」は、戸田恵梨香さん、永野芽郁さんに、
高畑淳子さんまで出てるので、NHKの朝ドラ好きなワシとしては、
気になってた映画であった。

原作は湊かなえさんだし。

面白かった。
「母性」がテーマということで、
「ワシに分かるんやろか」という心配も少しあったし、
結果的には、分かってないところも多いのかもしれんけど、
母娘の関係を、親と子を中心とした「人間関係」と捉えても、
十分に楽しめる内容だったと思う。

物語には、四組の母と娘が出てくる。
母、大地真央さんと、その娘の戸田恵梨香さん、
そして物語の中心、戸田恵梨香さんと、その娘の永野芽郁さん。
戸田恵梨香さんの義母、高畑淳子さんとその実の娘の関係も、
メインではないが、母と娘の、一筋縄ではいかない関係を表す
サイドストーリーになってると思う。
そして、四組目、娘こそ映画には登場しないけど、
その娘の存在が感じられることが、
この映画のテーマが、人類が存在する限り、
続くものであることを感じさせてくれる。
よくできた構成やなあ。

親は子を所有物であったり、自分のアクセサリーであったり、
思い通りに動かしたい、という欲求があるのだろうか。
少なくとも、この映画の登場人物のうちの何人かは、
そんな気持ちがあるように描かれている。

けど、それはきっと本物の親子関係ではない。
少なくとも、人と人しての親子関係ではない。
母が娘を一人の人間として向き合った時、
初めて、そこに本物の親子関係ができる。
誰かの娘だった女性は、その時やっと母になるのではないか、
映画を観てて、そんな風に思った。

と言いつつ、この映画のテーマは、そんな風に単純化できない、
とも思っている。
こうやって、親から子へ、その子が成長して、自分の子へと
繋がっていく線は、極端に負の方向に転ぶと、
虐待の連鎖にもなっていく。
そんなこともこの映画は表現してるようにも思えるし、
父と娘の関係や、姑と嫁の関係など、
単純化できない、いろいろな関係が、描かれている。

きっともう一度観たら、また違う感想を持つだろう。
そんな映画じゃないかな。

なんだか違和感があったのは、予告編。
ちょっとミステリーっぽい仕立てで、しかも煽情的過ぎて、
この映画の静かに怖いトーンとは、
観てる人の気持ちや期待を、
別のところに連れて行っちゃうんじゃないか、
ということでした。


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