橋本ヒネモスのBBBムービーvol.5「ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~」「イニシェリン島の精霊」「素晴らしき日々も狼狽える」「遊撃/映画監督 中島貞夫」。

「ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~」。

もちろんワシは、当時4歳なので、記憶はなく、
その時の熱狂は、後々、聞いて想像してただけなのだが、
この映画を観ると、ワシの思ってた以上の凄さやったんやなあ、と思った。
当時の観客のリアルな声、
何をするのも、日本初だった関係者の苦労も、想像以上。
けど、それが確実に日本の音楽状況も一変させてしまったんやなあ、
ということは、伝わって来た。

この手のドキュメンタリー映画で大抵、ちょっと残念に思うのは、
権利関係のこともあるんだろうが、
「この曲の話してるのに、その曲かからんのや」ってことかな。

今の若い人たちにも間接的には影響与えてるだろうと思ったけど、
直接的にも影響を受けてる人、つまり若いビートルズファンや、
意識してる若いミュージシャンも、けっこうおることも嬉しかった。

けど、ようあんなほとんどホテルに缶詰の状態で、
ジョン・レノン、日本を好きになったもんやな。

「イニシェリン島の精霊」。

閉ざされた島の、濃密でお節介な関係だからこそ起こる悲劇かもしれないが、
それが、何か人間の本質と繋がってるような気もする深い映画やった。

あのかっこええコリン・ファレルが見事に、情けなく退屈なおっさんになってた。
ストーリーとしても、役者としてもブレンダン・グリーソンとのガチンコ勝負やけど、
二人とも、遜色ないええ演技してはった。

主人公二人の気持ち、どっちもわかるなあ。
行動が二人とも、極端すぎるけど。

景色は美しいが、全体的に寂しいトーンで、
けっこう深刻なストーリーなのだが、
なぜか、主人公たち含め、村人のひとつひとつの言動や仕草が、
コミカルにも感じてしまう映画でもあった。

ポップミュージック以前の素朴なケルティックフィドルは、
ワシの何かの記憶と結びついてるようで、
切ないような、悲しいような、それでいて温かいような、
言い知れぬ場所へ、ワシを運んでしまう。

「素晴らしき日々も狼狽える」。

鹿児島で開催されてるフェスのドキュメンタリー映画。
ちょっとワシとはノリが違う気がして、
行くかどうか迷ってて、大阪と京都で観逃したんやけど、
神戸でもやり始めたので「観ておくか」と行って来た。

確かに、フェス自体の考え方、観客のノリ、
出演者の傾向、映画自体のトーン、
すべてワシの好きな方向とは、微妙に違うけど、
それは人の好き好きなので、全然構わん。

開催するスタッフも、出演者も、観客も、
一人一人が音楽を愛して、このフェスを自分のものとして大切にしてることが
伝わって来て、清々しい気持ちになれた。

地元と密着して、アマチュアにも門戸を開いてるところ、
この繋がりをベースに、被災地の救援など、
ライブ以外にも、活動を広げてるところも素晴らしいと思った。
この町に住む人、特に若い人が、この町に住むことに誇りを持てるような
フェスなんやろなあ。

知ってる出演者ではタテタカコさんと、南部式さん、OAUさんが音声入りで出てて、
印象に残ったなあ。あ、フラカンとかも出てたな。
ハッチハッチェルさんや知久さんは、映像のみの出演でした。

初めて聴いた人たちで、「ええなあ」思ったのは、
「徒歩圏」さん、「JOHNSONS MOTORCAR」さん、「まつきよしほ」さんでした。

この状況も乗り越えたみたいだし、
なんとか、続けていってほしいなあ、
と思うフェスでした。
毎年でなくてもええので。

「遊撃 / 映画監督 中島貞夫」。

京都の映画界の重鎮、中島貞夫さんが20年ぶりにメガホンを!
その様子をよくぞ、撮っててくれました!
というドキュメンタリー映画でした。

ワシも、何度か仕事でお邪魔した太秦の撮影所の、
あの独特の雰囲気を体現してる最後の監督かもしれんなあ。
随所に懐かしい話が出てくる。
「話だけは聞いたことある」ような、ことも、あれこれ。
それを観てるのは、ワシ自身の昔も思い出して、
ほんと幸せな時間を過ごした。

山下敦弘さんとか、ワシの好きな監督さんが、
憧れの人(中島貞夫さん)にドキドキしながら会う、
みたいなシーンも好きでした。

中島監督、ほんまにチャーミングで、人としても好きやなあ。
興行成績とか関係なく、
もっともっと撮ってほしい人やなあ。
この人が撮らないと、なくなってしまうものが、
いっぱいあるような気がした。

いろんな時代が地層のように重なってる町、京都に、
昭和時代、「映画」という地層を加えた人たちがいた。
その人たちの最後の一人なのかもしれない。

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