橋本ヒネモスのBBBムービーvol.28「ザ・ホエール」「マネーボーイズ」「幻滅」「別れる決心」。
「ザ・ホエール」。
密室劇としては新しいなあ。
ほとんどワンシチュエーションで、
主人公含め、登場する人それぞれの人生、
登場しない人の人生まで描いてる、脚本力、演出力は見事やと思う。
けど、なんだか泣くような気持ちにはなれなかった。
ワシが天邪鬼だけなんかも知れないけど、
「ほら泣いて」「さあ泣いて」とけしかけてくる映画って、
意外と泣けないもんなんやなあ。
寅さんだと、すぐ泣くんやけど。
喘鳴、不眠、落ちたものが拾いにくい、、、
人生最大体重時よりはマシになったものの、
思い当たることが多過ぎて、個人的に観てられんシーンがところどころあったのは、
まあ、別の話やな。
「マネーボーイズ」。
ようわからんけど、中国で男娼って商売が成立してることに少しビックリ。
まあ、闇商売ではあるんやろうけど。
絵も美しいし、農村と都会の、富裕層と貧困層の格差が
どんどん拡大して行く、社会の問題も、
しっかりとらえたええ映画やと思った。
主人公の本当の気持ちが、捉えにくいのだが、
それは、この主人公自身が自分というものを、
未だ捉え切ってないからかもしれん。
その辺のことも含めて描いてるんやと思うと、
なかなかすごい映画かもしれん。
「幻滅」。
1820年代、新聞が力を持ち出したフランス、パリを舞台にしてるけど、
これは、確実に今の社会状況を憂えて作られた映画やと思う。
フェイクニュースに、ステルスマーケティング、
大事なのは、事実より、世論、評判。
嘘でも構わない、どうやって人を信じ込ませるか。
真実を追い、描こうとする芸術ですら、
それを生活の糧としようとすると、
商売というテーブルに登らざるを得なく、
そうなってしまうと、その評判合戦の対象になってしまう。
制作者は、その状況を憂いつつ絶望しつつ、
どこかで真実の持つ力、という希望を信じてるような気がした。
人々が、評判に左右されずに、
自分で見極めて欲しいという希望のために、
この映画を作ってる気がした。
ワシも、人の意見に惑わされず、自分にとっての真実とは何かを
常に問いただしていかんなあ、と思った。
「別れる決心」。
主人公は美男美女。
カメラアングル&カメラワーク、
ストーリー、トーン、シチュエーション作り、
ぜんぶ斬新でカッコええ。
感情の変化も丹念に描いてて、観てて納得いく。
ようできてはいるんやけど、
本質的には恋愛&ミステリーなんやろな。
テレビの韓国ドラマってあんまり知らんけど、
こんな感じなんかな。
めっちゃスタイリッシュな火サスみたいやな、と思った。