橋本ヒネモスのBBBムービーvol.27「この小さな手」「『幾多の北』と三つの短編」「愛国者に気をつけろ!」「見知らぬ隣人」。
「この小さな手」。
ええ話やけど、ええ話過ぎるなあ。
大筋がはっきりしてて、ストーリーに無駄がなさ過ぎるってのは、
なんか、いろんな人や出来事がステレオタイプに見えてくるんやな。
ほとんど、悪意のある人が出てこないのも、
ツルッとした印象に繋がってるのかも。
その分、主人公の前半が、腹立つくらいダメではあるんやけど、
それも、物語の流れ考えたら、必要なことで、
やはり無駄がない。
始まって10分くらいで、全体の大まかな流れが予想できて、
ほぼその通りに進む。
音楽も正解過ぎる気がして、かなり気恥ずかしくなってしまった。
エンドロールの後のおまけが、予定調和をさらにダメ押ししてしもてる気がした。
子どもの演技とは思えない自然さには、少しビックリした。
「『幾多の北』と三つの短編」。
山村浩二さんのも含め、3つの短編と山村浩二さんの長編「幾多の北」を一緒に観られる映画でした。
短編の印象。
センスってのには、いい悪いの前に、
合う合わんがあるんやろな。
1個目のは合わんくて、ようわからんかったけど、
2個目、3個目は、おもろかった。
ちなみに山村さんのは、2つ目。
水墨画をベースにしたアニメーションも観応えあった。
長編の「幾多の北」。
絵の美しさ、深みのある色彩の統一感、
出てくる造形の動きやカメラワーク、
間のとりかた、フレーズの面白さ、
音楽のクオリティ。
どれを取ってもアート性は素晴らしいんやないか、思った。
ただ、全体を貫くストーリー性は感じられず、
人の夢を覗き見させられてる感じが少しした。
自分の夢でも一時間って辛い気がするのに、
人の夢を一時間以上見せられるのは、かなり辛かった。
全体的な印象としては、ヒエロニムス・ボスの絵に
時間軸を与えた感じかも。
音楽が面白かったので、
音楽にビジュアルを付けたミュージック・ビデオとして観た方が、
観やすかったかもしれない。
「愛国者に気をつけろ!」。
右翼の活動家、鈴木邦男さんのドキュメンタリー映画。
おもろかった。
鈴木さん、筋の通し方が、凛々しくて、わりやすい。
おまけに、なんかかいらしい。
疑問を持てば、誰とでも話す柔らかい姿勢もええ。
右でも、左でも、「この人たちはこう」と決めつけて、
話するんじゃなく、ただ攻撃するところからは、
何も生まれないんやなあ、と鈴木さん見てると思えてくる。
本来の愛国者ってのは、政府の言うことを鵜呑みにするのではなく、
ほんまにそれで正しいのか、国のためになるのか、
常に自分の頭で考えてる人のことなんやろな。
この人に比べれば、世の中のこと、全然ちゃんと考えてないけど、
一度、鈴木さんと話ししてみたいと思った。
けど、鈴木さん、けっこう滑舌悪いんで、
スーパーでフォローして欲しかった。
他の人には入れてるところもあるのに、
鈴木さんの発言には頑なに入れない。
なんでやねん。
ところどころ、何ゆーてるか、わからんところあったので、
今度は字幕入りで、全部、観直してみたい。
「見知らぬ隣人」。
痛いの、怖いの苦手なワシには、
なかなか辛かったけど、
退屈せーへん工夫が散りばめられたようできた映画やったとは思う。
まあところどころ「あり得んやろ」思うとこもあったけど、
そこはエンターテイメント映画なんで許せる。
意識なくなるまで酔っ払うところから、
いろいろ始まるんやけど、
そこは、他人事やないなあ、思った。
反省、反省。
この映画みたいなことになったらたまらんので、
今度こそ、ほんまに反省しようと、思う。
わざわざ観に行く映画でもない気がするが、
ドキドキする時間、過ごさせてもらった。