「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」@あべのハルカス美術館。
あべのハルカスで開催中の「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」を
観にいってきた。
ある意味、先日行った「超細密工芸」@清水三年坂美術館の延長線上のような展覧会で、
実際、清水三年坂美術館から、貸し出された工芸品もいくつかあったようだ。
主役は、今活躍中の驚くようなすごい技巧の芸術家の作品なのだが、
それのルーツとも言えるような、明治期の工芸も並べることで、
連綿と続く日本人の工芸の伝統の驚くような技術と、
工芸に賭ける熱意みたいみたいなものが、
より立体的に、見えてくるような、ええ展覧会であった。
いくつか、写真OKのものもあったので、
写真中心に紹介。
この「月下美人」、全部木彫ってだけでも驚くのに、
水につけると花が開く仕掛けになってるらしい。
発想も、技術もぶっ飛びすぎ。
この蝶も木彫。
彩色してるのではなく、こういう色の木を組み合わせて、象嵌してるらしい。
立体象嵌というこの作者の編み出した技法やそうだ。
もうそれだけで不器用なワシは気を失いそうなのに、
水滴まで彫刻らしい。
下に引いてある板と同じ木からできてて、水滴部分だけ、磨きかけてるらしい。
こんなことを考えつくだけで凄いのに、
やりきってしまう情熱、もうわからん。
これは、すべて鉄を組み合わせて、でできてる。
下のレリーフの入ってる台みたいなのは、中空になってて、
ここに火を灯すと熱で、龍が動き出す仕掛けらしい。
その実演観てみたかったなあ。
同じ作者のむちゃくちゃリアルな鳥の彫刻は、表面だけでなく、
見えないけど、骨格まで再現してて、
CTで、それを撮って編集した動画の二次アートも展示されてた。
ちなみにポスターになってるスルメなんて木彫で、
金具部分まで同じ木から削り出してるらしいのだが、
あまりに完成度が高すぎて、
ほんまもんにしか見えないのであった。
ワシやったら、「ちょっとは木彫に見えるように、
地の木の部分、残しとくか」ってなりそうやけど、
完璧を追求する作者は、そんな邪なこと考えず、
ひたすら本物に近づけていくんやろな。
デジタル螺鈿の池田晃将さんの作品は、他でも何度か観たことがあったが、
まとめて観ると、さらに圧巻やった。
撮影できなくて、残念。
ガラスで作った粘菌。
もう動き出しそう。
動くと言えば、最後の最後に、
一番びっくりさせられた、これ。
磁器やのに、曲げたり、捻ったり、畳んだり、
布のように扱えるらしい。
ひとつひとつ細かいリングがくっつくことなく連結しているらしい。
常識みたいなもん、
なんやったか、わからんくなってきた。
もう気が遠くなる。
他にも焼き物やのに、七宝っぽく観せたり、
「なんで、そんなことするねん」
「なんで、そんなことできるねん」
のオンパレード。
ものすごく、現代的なアートなんやけど、
「ちゃんと日本の伝統的な工芸品の延長線上にあるんやな」
ということも感じられる展覧会でした。
明治期の七宝からヒントを得た作品もあるので、
ワシの好きな並河靖之さん作品の展示もあって、
ワシ的には、お得感、さらにマシマシであった。
この展覧会、あべのハルカスでは9月3日まで。
その後、9月12日から11月26日まで、三井記念美術館、
12月8日(金)から来年2月4日(日)まで、富山県水墨美術館と巡回するようです。