きつい表現の枠が、さらに表現を深めた印象。BBBムービー「君は行く先を知らない HIT THE ROAD」。

※多少のネタバレあり。

公式サイト

昔、アッバス・キアロスタミやジャファル・パナヒなどが監督する
イラン映画にハマってたことがあったが、
ジャファル・パナヒの長男、
パナー・パナヒの監督デビュー映画であるこの映画も、
ふたりの世界に共通する、荒涼たる詩情みたいなものが、
ベースにあるような気がした。
その上に、独特のユーモアがあるところも良かったな。

イランの国情を考えると仕方ないのだが、
このイラン版ロードムービーとも言えるこの映画も、
旅の目的自体は、はっきりとは示さない。
示せないのだろう。
それをミステリー的な味付けに昇華してしまってるのは、
見事やなあ、と思った。

足を骨折したお父さんのギブスに落書きした鍵盤を、
子供が押すと、それが音楽と同期するなど、
要所要所にセンスが感じられて、
この監督も注目やなあ、と思った。

笑わせたり、楽しませたりしながらも、
イランの国情をきちんと伝えてる演出には、
そうとうの技量も感じた。

とにかく次男が、やんちゃでかわいいのだが、
その分、この少年も、イランの状況が変わらないままだと、
10数年後には、同じような道を、と想像すると、
胸が痛くなった。

ほとんど使われてないのだけど、
予告編に使われてるような音楽も、そうとう好きやったなあ。

表現的に困難な状況を利用して、
さらに強く訴えかける、
楽しみな監督がまた出てきたな、と
少しワクワクしながら、映画を観終えた。

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