人は人をわかりはしない。せめて触れるだけでも。BBBムービー「アンダーカレント」。
久々に人に勧めたくなる映画に会えた。
けど、あっと驚くような展開もないし、
どちらかというと、辛気臭いので、
誰に勧めるか、とか、どう勧めるかが、
難しい映画だな、とも思った。
人は、人の奥底に流れているものを理解なんてできるものじゃない。
自分でさえ、自分をわかってないことの方が多い。
だけど、ほんの少しだけでも、その奥底に触れられた、と思うときが、
あるのかもしれない。
その時は、幸せとは呼べないかもしれないが、
なにか温かいものが、心に芽生えたりする。
出演者、それぞれの奥底に流れるものが、
全部明らかになるわけではないし、
それが全部交わっていくわけでもない。
ましてや分かり合ったりなど、するわけではない。
少し、そこに触れたり、
でもやっぱり別々に流れてたり。
そこがリアルで、「ワシの物語でもある」と
思えるところだったのかもしれない。
そんな微妙で難しい気持ちを、
逃げることなく描こうとした映画だと思った。
一人一人の役者さんが、映画のことを理解して、
間違いのない演技をしてる気がした。
細野晴臣さんの音楽も、その心の状況を、
真っ直ぐに、だけど柔らかく表現してて、
「この人、ほんまに凄いなあ」と思った。
真木よう子さんは、メイクかもしれないけど、
シーンシーンの顔色まで、心の中が見えるようで、
素晴らしいなあ、と思った。
少し、ネタバレになるけど、最後のシーンの控えめな表現が
むっちゃ好きだ。
これ以上やると、ハッピーエンド過ぎて、
「絵空事かよ」と思ってしまいそうだし、
このシーンがなければ、
「結局どうなったの?」とモヤモヤしそうな気がする。
この上ない塩梅で終わってくれた。
銭湯がテーマの映画ではないけど、
舞台が銭湯ってのも、個人的には嬉しかったな。
出演者のコメントありの動画観て、
「ああ、出演者がこんな気持ちで演じてるのか」と
また嬉しくなったので、貼っておきますね。