「生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー」@中之島美術館。
中之島美術館で、開催中の「長沢芦雪展」、行って来た。
ずっと行きたかったんやけど、
期間の途中から同じく中之島美術館で「テート美術館展」が開催されるので、
まとめて行こうと思って、我慢してたのだった。
結局は、いらん我慢やったんやが。
実は、わし「ジャパニーズかわいい文化」の源流は芦雪やないかと睨んでいる。
子犬の絵とか、確かに師匠の円山応挙の影響はもちろんあるんやろうけど、
応挙が写実的に子犬のかわいさを描いたのに対して、
芦雪は、さらに子犬のかわいいエッセンスを抜き出して、
本物以上にかわいい絵を描いてしまった。
「本物以上に本物」、
今書いてて思うのは、これって、現代の似顔絵の描き方やなあ、
芦雪は似顔絵の源流でもあるのかもなあ。
まあワシは「かわいい文化」を憎んでる部分もあるので、
そういう意味では芦雪が憎くもあるのだが、
あの子犬のかわいさには、無条件にデレデレになってしまうので、
やっぱり「芦雪!ありがとう!!」なのである。
けど「大阪初の回顧展」ってこともあって、
芦雪の全生涯の多岐にわたる作品を観られるので、
単に「かわいい」だけの人でないことは、よくわかるのである。
オーダーもあるんやろうけど、寺の襖絵とか、掛け軸とか、
観られる場所などによって、画法も、いろいろ描き分けている。
けど、どの絵を観ても「芦雪らしい」と思える。
「方」はなくても、「らしさ」があるってのは、
絵に限らず、音楽でも、映画でも、表現としては理想かもしれん、と思った。
その「らしさ」の秘密は、線の巧みさにあるような気がする。
まあ、えらそうに言ってみても、
これ以上に詳しい説明とか、できるはずもないんやけど。
展示の仕方も良くて、
何だか落ち着いてゆっくり観られた。
展示の最後にあった、芦雪や、若冲、蕪村などの住居地図もおもろかったなあ。
今の京都の地理と照らし合わせて、
「へ〜〜あそこに住んでいたのか、堺町画廊のすぐ近くやな」とか
「みんな近所に住んでたんやなあ」とか思いながら、
かなりの時間を費やしてしまった。
その時代の京都って、ほんま文化度が高い町やったんやろうなあ。
芦雪が和歌山で、開眼したって話も、
和歌山が好きなワシには、嬉しくもあった。
今回初めて観た中で、一番気に入ったのは、この絵。
見つめあってるだけの寒山拾得図なんて初めて観た。
けど、寒山拾得ってわかるもんなあ。
やはり和歌山の高山寺にある絵らしい。
この絵のグッズは、絵葉書しかなかったのが残念。
もちろん、その絵葉書は買った。
ほかにも、いろいろ買ってしまったなあ。
看板にもなってる「牛図」は、11月7日の後期からの展示らしいので、
もう一度、行こうかな。
と、芦雪展が、あまりにも充実してて、
時間もかけて観てしまって、頭が飽和しそうになってしまったので、
テート美術館展は諦めてしまったのだった。
だったら、我慢せずに、さっさと行っとけば良かった、という話でした。