う〜む、山下敦弘さんが撮らなくても、と思ってしまった。BBBムービー「カラオケ行こ!」。
笑える面白い映画であることは間違い無いと思う。
けっこう今の日本映画にありがちな、
「笑って泣けて、ほっこりできるハートフルコメディ」のパターンに
ガッチリハマった映画、という印象。
ワシの好みではないけど、
そういう映画があっても別に構わない。
けど「山下敦弘さんが、この映画、撮らんでもええんちゃう」
の気持ちが拭えない。
ワシは、山下さんの「天然コケッコー」とか「オーバーフェンス」とか好きで、
人生の悲しみを知りつつ、それを心に抱きながら、
汚れたままで、生きていく人に共感してて、
そういう期待を持ちつつ観てしまったので、
こういうありがちな映画だということを、
残念に感じてしまったのかもしれない。
![](https://bridgebybridge.net/wp-content/uploads/320-61.jpg)
冒頭のシーン、雨の中、ズブズブに濡れたカッターシャツ、
刺青がモロに見えている。
手には、背広。
印象的なシーンではあるが、
この状況で、中学生の合唱コンクール会場に入るなら、
せめて、背広で刺青隠そうとしないか?
そういう気遣いのできるヤクザとして、
主人公、描いてるんじゃないか?
中学生の前で、焦って背広を着るシーンとかあれば、
もっと映画に入れたのにな。
とか、いろいろ細かいことで気になるとこも、
いろいろあった。
予告編にも入ってるセリフで、
「きれいなもんしかあかんかったら、この町ごと全滅や」
というのがある。
このセリフは好きで、ここを掘り下げていったら、
きっと、山下さんらしい映画になる気がするなあ、と思った。
そうできる可能性が、少し見えた分、
余計に残念に思えてしまう映画であった。