先人たちの底力「知恵泉」柳宗悦。
昨日、NHKの番組、知恵泉で、柳宗悦さん、やってた。
元々、大尊敬してたし、
柳さんの提唱された「民藝」の作品も好きだし、
その思想にも共鳴してて、
すごい大きく影響を受けた人だったけど、
生い立ちや「民藝」という思想にたどり着く、
道のりなどは、詳しく知らなかったので、
すごく、面白かった。
いや、面白い、というより、
感服してしまった。
ワシが、あれこれ迷いながら、たどり着いた
現時点で思ってることを、柳宗悦さんは、
ずっと前に書き記していたのだなあ。
「吾々が固有のものを尊ぶということは、
他の国のものを謗るとか侮るとかいう意味が伴ってはなりません
国々はおたがいに固有のものを尊び合わなければなりません
世界は一つに結ばれているものだということを
かえって固有のものから学びます」
「手仕事の日本」より
ほんまにそう。
そして、この思想に、無名の人々による工芸の美から、
辿り着いたということに、
一種の興奮に近いものを感じてしまう。
この話って、工芸には限らず、
文学や、音楽、舞踊、あらゆる芸術に通じる話だと思う。
いや、芸術に限らないな。
この文章では「国」としてるけど、それを飛び越えて、
すべての人種、民族、宗教、障がい、性的傾向、など、
人と人を繋ぐ、すべての事象に通じることで、
あらゆる人を尊重する考えの元になる思想、と言える気がする。
この思想が行き届けば、
すべてのヘイトは無くなり、
戦争なんて、もっとも意味のないものになっていくのかもしれない。
だから柳さんは、戦時中、公安にマークされることを分かった上で、
日本の朝鮮政策に、異を唱える。
それを堂々と新聞で発表する。
伏字にされようとも、屈しない。
強い人だ。
それが美に対する揺るぎない確信から生まれてることに、
涙が流れるほどの感動を覚えた。
この番組があることを知らずに、
たまたま一昨日、5年前に書いた木喰仏の話をピックアップした。
これも、柳さんが見出した民衆の中で生きる「美」のひとつ。
柳さんが見出さなければ、無価値なものとして、
永遠に埋もれていたかもしれないもの。
なにか、ワシを導く太い糸に操られてるような気がした。
それは、全然イヤではない。
「やっと気づいたんだね」と、
写真でしか見たことない、あのお優しい柳先生のお顔が、
微笑みながら、言ってくださってるような気がする。
今まで、あまり興味なかったけど、ゲストの林家たい平さんや、
全く知らなかったアイドルの和田彩花さんのコメントも、
いちいち頷いてしまう、いいコメントばかりだった。
そして、それを受け止める若松英輔さんのコメントが、
また「そうか!そういうことか!」と目を覚ましてくれるようなコメントで、
録画した動画を、何度か繰り返し観てしまうほど、
揺さぶられてしまった。
ワシも、見過ごしがちな、身の回りにある「美」、
ワシにしか美しいと思えないものであろうと、
そういう「美」に敏感でありたい。
ワシにしか気付けない「美」でも構わない。
見つけたい。見つけてやりたい。
この番組、6月11日の火曜、13:50~14:25で再放送されるようなので、
是非、ご覧いただきたい。
今ならNHKプラスでも、観られます。
そして、同じ日の夜、22:00~22:45には、
同じメンバーで、この続編があるようだ。
しかも、メインは、柳さんが訪れたことで、
今の時代に遺されたのかもしれない、
沖縄の芭蕉布や紅型の話らしい。
柳さん、方言の取り締まりにも異を唱えたんやなあ。
ほんまに素晴らしい。
今まで以上に、柳宗悦さんは、
ワシの大切な師になった。