う〜〜む、もったいない。BBBムービー「ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―」。
豊臣秀吉の朝鮮出兵のとき、陶工が連れてこられて、
伊万里焼をはじめ、各地の陶磁器が発展したことは知ってたけど、
鹿児島で、その系譜を今に伝える家、沈壽官家というのがあるとは知らなかった。
工芸好きで、歴史好きなので、この映画は是非、観に行かなきゃ、と思ってた。
う〜〜む、面白かったんやけど、
テーマを沈壽官家に絞り切った方が、良かったんではないかなあ。
モチーフとしては、ものすごく面白いものが、いくつもあるのに、
ツッコミが不足気味で、全体的には散漫な印象が強くて、
ものすごくもったいない、という印象を抱いてしまった。
司馬遼太郎さんが、入れ込んで作品を書くほどの沈壽官家。
その数奇な運命自体、むちゃくちゃ面白そうなのだが、
司馬さんが、どう興味を持ったか、もっと突っ込んで欲しかったなあ。
400年前、日本に渡ってきたときの朝鮮の生活器としての器と、
明治期に世界を席巻した薩摩錦の間には、
明らかに大きな違いがあると思うのだが、
それが、どんな発展を遂げて、
あの繊細な薩摩焼になったのか、
もっと知りたかった。
申し訳程度に語られる上野焼きと萩焼は、
なんのために入れたのだろう。
同じ朝鮮由来の器として映画に入れたのなら、
なぜ、伊万里焼に触れないのかも疑問だけど、
薩摩焼きに絞って、深めて欲しかったなあ。
同じ時期に、毛利、細川、島津が朝鮮から陶工を連れてきたのに、
それぞれ、こんな違う焼き物になった、というなら、
それだけでテーマになるくらい面白いモチーフなので、
また別の映画として観てみたい気はする。
沈壽官家の親子の確執も、モチーフとしては面白いけれど、
どうにも消化不良の気がしてしまった。
少し話変わるけど、400年前に渡来して来たのに、
未だに当代の子ども時代には、
差別を受けたって話には、驚いてしまった。
だったら、日本に暮らす人のほぼすべて、
大陸にルーツがあるんとちゃうかなあ。
沈壽官家と朝鮮の今の時代の繋がりのくだりは面白かった。