今の時代を生きるために、観るべき映画、でもある。BBBムービー「骨を掘る男」。

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明日は、組織的な沖縄戦が終わったと言われる「慰霊の日」。
その日までに、この映画を観ておきたいと思っていた。

いきなり、真っ暗の場面から始まる。
遺骨の埋まってる可能性が高いガマ(洞窟)の中。
自分が閉所恐怖症であることを思い出す。
しかも人混みも苦手。
あんな真っ暗な限られた空間に、
ぎゅうぎゅう詰めで、何日も閉じ込められる。
それだけで気が狂いそうなのに、
いつ敵が来るかもしれない、いつ殺されるかもしれない、という恐怖の中。
想像するだけで、泣きそうになる。
これが、戦争なのだ。
これが沖縄戦だったのだ。

そんな思いをして、この世を去った日本の人の骨が、
当時の敵である、米軍の基地の一部になるかもしれない事態。
具志堅さんがいうように、基地反対以前の問題だと思う。
右翼、左翼関係なく、いや右翼だからこそ、
国のために戦った先祖が、その当時の敵の基地の一部になる、
そんなこと、許せるはずがないのではないか、と思う。
なのに、具志堅さんの街頭演説を、
妨害する右翼。
筋が通ってないなあ。
ほんまに、わからん。

具志堅さんのことは、以前から知っていたので、
「すごく興味深い話ではあるけど、
二時間も持つのかなあ」とは、思っていた。

けど、この映画は、ただ具志堅さんを追っかけるだけの映画ではなかった。
沖縄戦の遺族ではない具志堅さん、
遺族だけど、亡くなった人と会ったことのない作者、
そういう沖縄戦に対して、違う立場の人を通じて、
「知らない人の追悼をできるのか」、
という問題と向き合う、すごく知的な映画だった。

だから、沖縄の各地域の人々、
子どもも含めてのたくさんの人々が、
戦没者の名前を読みあげるシーンを、
丹念に追っかけるのだろう。

それは、決して知り得ないこと、
見られないものに近づく手段、
簡単には想像できないものに、近づこうとする手段。
ある意味、具志堅さんの遺骨収集と、
同じベクトルの作業なのかもしれない。

そして、きっと、これは、
沖縄戦含め、第二次世界大戦の犠牲者と直接会ったことない人が
どんどん増えるこれからの時代に大切なことだし、
今世界中で起こってる、戦争などの紛争に、
思いを寄せるためのヒントにもなる映画なのだろうと思う。

沖縄戦の記憶の記録としても、重要な映画だけど、
今のこの、紛争の時代を生きていくためにも、
必要な映画だと思う。

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