将来、死ぬすべての人へ。BBBムービー「ある一生」。
不思議な映画だった。
あらすじだけ書くと、激動の時代の波瀾万丈の人生なので、
すごくドラマチックになってしまいそうなもんやけど、
それを極めて淡々とした筆致で描いてるんで、
特に大きな起伏もない展開に思えるくらい。
「こんな人生送る人も、そら、おるかもなあ」と思ってしまう。
「どうやら、この波瀾万丈を描きたい物語ではないのだな」と、
観てて気づき始める。
映画観終わって、ポスターのキャッチフレーズを観て
「なるほど」と思う。
あの激動の中、貧しいままで、生涯一人の女性を愛し、
その女性を早くに失った80年の人生、
それでも、幸福感を抱きながら、死んでいくことができる。
人生の最終目的が「幸せになること」だとすると、
この貧しく報われなかった男は、
最上の人生を送ったことになるのかもしれない。
観終わって、なんだかええ拾い物をしたような気分になった。
将来、死ぬことになっている人は、(て、みんなだろうけど)、
人生の過ごし方、最終的な目的を見つめ直すために、
この映画を観た方がええんやないか、と思った。
ちょいとネタバレ。
走馬灯って話、ヨーロッパにもあるんかわからんけど、
この制作者は、きっと知ってるんやろなと思った。
淡々と進む映画の中で、
さすがにそこはドラマチックに感じる一瞬だった。