佐藤泰志「そこのみにて光輝く」。
映画「そこのみにて光輝く」を見て、佐藤泰志の原作を読み返したくなった。
原作も、やはりいい。
地味だけど、ストーリーではなく、登場人物の行動から想像される感情で
物語が動いて行くのが「これぞ、文学」という気がする。
この人がなぜ、生前、評価されなかったのだろう。不思議でならない。
二編に分かれているこの原作の要素を分解し、配列を組み換え、
つぎはぎの見えないひとつの物語として構成した映画の手腕にも
改めて力を感じた。
今回、原作を読んで一番「おおお!」と思ったのは、
詩人、福間健二さんの解説の文章のラストだ。
『青春期から少したった時期の、いろんなことがうまくいかなくなって、さびしくてたまらなくなる「夜」を知っている人なら、そのことがよくわかるはずだ』。
佐藤泰志の小説すべてを言い尽してる名解説だと思った。
次は、DVD化したら映画をもう一度味わってみたい。