映画「キャタピラー」。

最近、若松孝二監督がマイ・ブームで、
昨日は「キャタピラー」をDVDで鑑賞。

いやあ、最初から最後まで、打ちのめされるような重い映像だった。
その中で、確かに寺島しのぶさんの演技はすごかった。
けど、大西信満さんの演技も鬼気迫るものがあったなあ。

戦争で手足と聴力を無くした夫。
「軍神」と讃えられ、恩賜の勲章をいくつももらうが、
当然、生活は、妻に覆いかぶさって来る。
動けない、喋れないのに、性欲はある。
その性についての妻、夫のポジションが変わって行くところが、
この映画のキーだと思うので、詳しくは語らないが、
その重いテーマと、昭和初期の日本の農村の美しさかが、
悲しいくらいに対照的で、
ますます救われない気分になるのだった。

少し感じたのは、その性の問題と、戦争という問題と、
同じくらいの比重で描く必要はあったのだろうか。
戦争をきっかけにする必然はわかるが、
戦中の映像を入れ込むほど、戦争に重きを置くことで、
テーマが若干ぼやけてる気がした。

まあ、気持ちは分からなくもないが、
凄いテーマなんだから、夫婦の葛藤をどすんと
真ん中に置いた方がよかった気がする。

ラストの「死んだ女の子」、
有名な広島の原爆で亡くなった女の子の詩だが、
元ちとせの歌、坂本龍一の編曲という豪華メンバーで、
いい音楽なのだが、
なんか違和感を感じたのは、そう言うことだと思う。
(映画のためのオリジナルではない。)

ちなみに「「キャタピラー」は
芋虫のこと。もちろん、夫のこと。
すごいタイトル!

コメント欄、盛り上がりました。
(20240323記)

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