映画「三島由紀夫vs東大全共闘50年目の真実」。

11月25日で、没後50周年らしく、今三島由紀夫が盛り上がっている。
ワシもけっこうテレビでやってる分はチェックしてるのだが、
ワシより上の三島世代はもちろん、若い人の間でも三島ブームが来て、
「命売ります」が今年一年で30万部を超す売れ行きらしい。

時代が変わっても、三島の言葉は若い人に届く。
それは昭和の大作家、他の誰もがなし得ていないことではないだろうか。

それはなぜなのか。という疑問もあって、
一番三島と近い時代にいて、少し上の世代を否定することで、
自分たちのアイデンティティを確立しようとする世代との対話を
ドキドキしながら観に行った。
「三島由紀夫vs東大全共闘50年目の真実」

三島とは思想的には真逆とも思える東大全共闘との対話。
1対1,000、圧倒的不利な状況での三島の姿。
それは少しも臆することなく、だからと言って、
相手を威嚇するでもなく、
対等に意見を交換し、討論しようとする姿だった。
むしろ、学生の方が、その真摯で、喧嘩腰でない三島の態度に、
面食らってるような感じさえあった。
ワシも、かなり意外だったのだが、
考えてみれば、三島は、いつでも高圧的になったりするような人ではなかった。
作品でも、自分の弱いところを露悪的なほど、さらけ出して、
それによって、誰もがどこかに持ってる、
普遍的なこの世との違和感に迫ってる人だったと思う。
ああ、だから三島は、思想的に対立してる少し下の世代にも、
世代的には隔絶してる、今の若い人たちにも届く言葉を発することができるのか。

そして、三島は、けっこうユーモアのセンスも長けてて、
学生の間に、何度も爆笑を巻き起こすのだった。
トレイラーは、その辺に触れず、やや対立を煽ってる感じがするが、
実際の映像は、思った以上になごやかですらあった。

右であろうと、左であろうと、一人一人の人格を尊重して、
相手の意見をきちんと聞き、理解しながら、
それとは違う自分の意見を述べる。
正しい討論の場が、そこにはあった。

この映画、もうひとつおもしろいのは、東大全共闘、楯の会、
この討論の担い手たちの現在が出てくるところである。
全く逆の立場ながら、みなこの討論会のことが、
その後の彼らの人生に大きく影響してるように思えた。

ホンモノの言葉は、人を動かすのだ。
すごく嬉しい感想を観終わったときに、抱いていた。

この映画、今のところ、公開は、関東、関西のみのようだが、
是非、たくさんの人に観て欲しい映画だと思う。

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