【ドキュメンタリー映画シリーズⅢ】「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」。

3本目は、一番観たかったドキュメンタリー映画です。
米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」。
ネーネーズの唄にも歌われた沖縄の政治家、瀬長亀次郎さん。
いや、親しみを込めてネーネーズ同様カメジローと呼びたいな。

本当に一筋も曲がったことのない真っ直ぐな信念で、
戦後、占領下の沖縄、そして復帰後の沖縄で
沖縄の人民のために活動しつづけた政治家、カメジロー。

その存在をアメリカが初めて意識したのは、
琉球政府創立式典で立法院議員として出席したカメジローが、
アメリカ国旗を前にしての起立を拒否したことから。
「沖縄の民に選ばれたのであって、アメリカに選ばれたのではない」

その後、言いがかりのような事件で、弁護人もなく、投獄され、
2年ほどの収監生活を強いられる。
しかし、これがカメジローをさらにカメジローにしたんじゃないかな。
カメジローを育てたのは皮肉にもアメリカだったのだ。

出獄後、数か月で那覇市長に当選すると、
アメリカのあからさまないやがらせが始まる。
カメジローが市長を務める那覇市には補助や融資をしない、
銀行に圧力をかけ預金を凍結する。
すると、那覇市民は「だったらこれを使って!」と
納税率が一気に97%にまで上がる。
アメリカがカメジローを苦しめれば、苦しめるほど、
カメジローは強くなり、市民はカメジローを応援する。
水道まで止められ、議会が不信任案を出すと、
カメジローが議会を解散する。
その隙にアメリカは布令を変更し、
投獄の過去があるものの被選挙権をはく奪する。
しかし、その後の選挙で新しく那覇市長になったのは、
カメジローの弟子のような人。
どうやっても、アメリカはカメジローを潰せないのだ。

その人気は今にもつながる沖縄の全島集会にも表れる。
15万人もの人が集まり、カメジローの言葉に酔いしれる。
「私一人の声は50メートルくらいなら届く。
ここにいるみんなの声は那覇市全部に届く。
そして沖縄全島の声はアメリカにまで届く。」(うろ覚え)
本当にその声はアメリカに届き、
アメリカは、土地の買い上げなどの政策を変更せざるを得なくなった。

その姿勢は返還後の沖縄でも真っ直ぐ続く。
基地そのままの返還、と、とても沖縄の人たちの臨んだ形ではなかったが、
返還を手柄のようにいう佐藤首相に向かって、
国会議員となったカメジローは真っ直ぐに沖縄の立場を主張するのだった。

こんな、ぶれない政治家がいただろうか。
こんなにはっきりと主張する政治家がいただろうか。
沖縄の人々に対する愛に溢れ、人柄を愛され、
しかし、今の政治家みたいにイメージだけで誤魔化したりせず、
公約や政策で人を騙したりすることもなく、
分かりやすく、実行力のある政策で、
沖縄の人々の生活を下から支える。

それを一番わかっていたのは、なんと正面にいる敵、アメリカだった。
アメリカのカメジローに対する詳細なレポートが残っていた。
そこには、「カメジローは意思が強く、真っ直ぐな政治家である。」という
政治家としての評価だけでなく「その演説は機知に富み、説得力があり、
みなに愛されている」(うろ覚え)と、
まるでべた褒めなのだ。
警察官として、集会を監視しているうちにすっかりカメジローのファンになった人もいた。

カメジローが好んだ言葉が「不屈」だ。
てっきりこれは自分のことを言ってるのかと思ったら、
「沖縄はけっして諦めない。沖縄は『不屈』だから、私はこの言葉が好きなのだ」
素晴らしい。私心のなさ、というのは、こう言うことなのだろう。

この不屈という精神は、カメジローが言ったように、
カメジロー個人のものではなく、真っ直ぐ今の沖縄にも繋がっている。
「イデオロギーより、アイデンティティー」と、
沖縄がオール沖縄としてまとまるのは、そう言うことなのだ。
それはカメジローが作り上げたものではない。
元々沖縄にあったものを、カメジローが分かりやすく形にしたのだろう。

そして、この姿勢こそが、民主主義の社会で、
少数派が多数派に対抗して行く術ではないか、と思った。

監督はニュース23で筑紫哲也さんの薫陶を受けた佐古忠彦さん、
語りは大杉漣さん。
音楽は坂本龍一さんの書き下ろし。

沖縄に興味がなくても、民主主義に興味のある人なら、
是非見てほしい映画です。
民主主義に興味ない人は、世の中に興味ないということやと思うので、
これを機会にぜひ興味を持ってください。

最後にネーネーズの唄の歌詞を。

♪うんじゅが情きさ 命どぅ宝さ
我した思いゆ 届きてぃたぼり
それは、昔、昔、その昔、
えらいえらい人がいて、
島のため、人のため、尽くした
あなたならどうする
海の向こう、おしえてよ亀次郎

瀬長亀次郎の記念館「不屈館」のご案内はこちら

ネーネーズの動画なかったので、素人さんの動画を。
2020年の動画です。
亀次郎さん、亡くなって20年近く経つのに、
その頃、子供だった人にも、
カメジローへの愛は息付いてるんやなあ。
(20201005記)

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