映画「牛久」。

できることなら観たくなかった。
チケット買ってからも、気が重かった。
けど、今の日本に生きるものとして、
これからさらに難民が増えるであろう、
戦時下の世界に住むものとして、
このドキュメンタリー映画「牛久」は
観ておかないといけない気がした。

日本の17箇所にあり、その非人道的な待遇が、しばしば問題になる
入国管理センターいわゆる「入管」。そのひとつが「牛久」だ。
この映画は、その施設に不法滞在者として収容された人たちの
絞り出すような叫びを「隠し撮り」で撮った映画だ。

伊勢志摩サミットで安倍元首相が発言した難民を救援すべきという話と、
わずか0.4%という難民認定率(2018年)と、
入管から仮放免されても、就労もできないし、国民健康保険にも加入できないという
矛盾は、どう説明すればいいのだろう。
お得意の「やった感」の創出だけで、終わってしまってるのだろうか。

収容された人たちの国は明かされないが、
どの人たちも、戦争や民族差別やLGBTQ差別で、
母国には帰れない人々。
中には、不法な潜入を試みてる人もいるかもしれないが、
一握りの、そういう人たちのために、
本当に困って、ようやく日本に辿り着いた人たちが、
さらに辛い目に遭うことを、どうすればいいのだろうか。

インタビューによるとセンター内では拷問まがいの
人権侵害も日常茶飯事に思える。
基本的人権とは、人間本来の権利で、
そこに国籍は関係ないのではないだろうか。
今、彼らの基本的人権が守られてると言える人がどこにいるのだろうか。

この人たちは犯罪者ではないし、
犯罪者の人権でも守られるべきだと思うのに、
この人たちは、いつまでか、刑期のわからない
刑務所に収容されてるような明日の見えない生活を送っている。

たとえ、仮放免されても、難民認定されるわけではなく、
二週間後にまた収容されたりもする。

一体、この国は、この人たちをどうしたいのだろう。
あれほど「インバウンド」「インバウンド」と叫んで、
「おもてなしの国」とアピールしていながら、
金にならない困った人たちには、
これほどの仕打ちをして、構わないということなのか。

そして、この施設に勤める人たちは、どんな気持ちで、
この人たちに対応してるのだろう。
そこに、虐待を虐待と思わず、
仕事として当たり前に思う仕組みができてしまってる気がして、
身震いしてしまった。

かつて、日本の同胞も、多くの人が、移民として他国に渡り、
辛い日々を過ごした。
そういう国として、本当に困ってる人に何ができるのだろう。
世界が戦時下にある今、
そして、災害大国に住み、
いつ、難民として海を渡らないといけないかわからない国の住民として、
この問題を、真剣に考え、
みんなが幸せになる対策を目指し、
世界に範を垂れるべき立場に、
日本はあるのではないのだろうか。

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