映画「金の糸」。
取り立てて何が起こるわけでもない。
人の晩年に起きた小さな出来事。
それが、辛い過去の記憶をつなぎ合わせ、
いい思い出に変えていく。
ものすごく簡単に言うと、
そんなストーリー「金の糸」を観てきた。
じじばばの物語の好きなワシには、
観逃せない映画であった。
舞台は昔グルジアと日本では呼ばれてたジョージア。
今、大きな紛争の起こってる地域から、
そう離れてない黒海に面した国だ。
そうは言っても知識の乏しいワシには、
街並みも、登場人物たちも、ヨーロッパの田舎町くらいにしか思えないのだが。
そこで暮らすおばあさんを主人公にした物語。
絵が美しい、音楽が美しい。
ストーリーも、多少の波乱を含みながら、
緩やかに流れ、緩やかに終わりを迎える。
同じ思い出でも、少し見方を変えると、
思い出したくないような記憶が、
いい思い出に変わっていったりするのだな。
人生の最後は、こんな風に迎えるのがいいなあ。
その繋ぎ方のキーワードとして、
日本の陶芸技術の金継ぎが出てくるのもちょっと嬉しかった。
観なきゃ観ないで、なんの問題もないけど、
観れば、少し年を取るのが、少し楽しみになるような
豊かな大人の映画だと思う。