生活の中の戦争。映画「ドンバス」。
先日は、フィクションのようなドキュメンタリー映画「ナワリヌイ」を観たが、
今回は、ドキュメンタリー映画のようなフィクション映画「ドンバス」を観た。
ナワリヌイの話は、こちら。
舞台は、ウクライナ、と言うかなんと言うか、
ウクライナ東部、親ロシア系の住民が多く、
一方的にウクライナからの独立を宣言したドンバス地方の、
数年前の実話に基づいた話。
今の戦争の火種みたいな紛争なのかもしれない。
観終わった後、脳みそ、グワングワン、ゆすられた気分になった。
フェイクニュースが溢れる通る町。
結婚式帰りに機関銃打ちに行く兵士。
住民を殺したのは、敵なのか味方なのか。
普通の住民が、捕虜の敵兵を殴る蹴る。
入念にメイクして、通りすがりを装い街頭インタビューに答える。
敵の残虐さを語るため?住民を虐殺して、
その事件の目撃者インタビューのリハをやる。
住民の車を勝手に徴用する軍隊、
持ち主が返せというと「お前は敵か!」と脅す。
そんなメチャクチャな町で、
住民は、生活を送り続ける。
国と国の分断、民族同士の分断、兵士と住民の分断。
ここには、分断が溢れまくっている。
どっちがマシってことではないけど、
これが国家間の戦争と内戦との違いかもしれんな。
真っ黒なユーモアに溢れてる映画なのだが、
どれもこれも、人の生き死にがかかってるし、
実話に基づいた話なので笑えない。
戦争というのは、かくも人間の滑稽で醜悪な面を曝け出すのだなあ。
きっと戦争がなければ、陽気で飲んで楽しい奴らだらけなんやろうな。
そして、怖いのは、これが、この民族に限った話ではなく、
戦争になれば、どの国の住民も多かれ少なかれ、
この人たちと同じようなこと、し始めるんだろうな、
と思ってしまうところである。